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July 21, 2006

オーガニックを仕事にするということ

Dsc08020店の前に貼ってあるメニューを何度も行ったりきたりしながら見ている男性がいた。何度かたってようやく店に入ってこられた。オーガニックコーヒーを注文しオーナーと話したいと言われた。手が空いた時に席に伺う。定年したので自宅を改装してコーヒーショップ開く予定らしい。店をやっているとそういう相談を受けることが多い。起業家セミナーの講師もしたことがある。たいていの場合、私は「失敗なんてないからやりたいことをどんどん形にしていった方がいいですよ」とアドバイスする。たとえポシャったとしてもそこから学ぶものがあれば、その経験は決して無駄にならないと思うからだ。ただしそれには条件がある。本当にやりたいことなのか、そして自分の店に対しての明確なビジョンがあるのかどうか。
その仕事が成功するか否か、お話を聞いた瞬間に予測できる部分がある。本当にやりたいことを持っている人の話は、聞いているだけでも店の内装から使う器、お出しする料理までどんどんイメージが膨らんでいくのだ。でも今日の男性にはそれがなかった。「大抵の人は店の雰囲気なんて見てないですよ。ただ何となくコーヒーを飲んでいるんじゃないですか?コーヒーは原価が安く利益率もいいでしょ?」と。
夢を壊すようで申し訳ない気がしたけれど「今時、特徴のない店は生き残れないと思いますよ。よほど人通りの多い場所にあれば別ですが、一度入っても二度目はないでしょうね」とお話した。「付加価値をつける」というのは大切なことだ。例えば自家焙煎の美味しいコーヒーが飲める、素材が安心、いい音響機材が揃っている、器がすごく素敵、内装がオシャレ・・・・等など。店は自分の生き方を反映させた場所だ。個性のない店には魅力がない(個性がないのが個性という店も時々あるが)。定年後、サラリーマン時代と同じ生活レベルを保つためにお金儲けの手段としてオーガニックの飲食店をやるのなら止めた方がいい。特に食に対するコダワリがないのに初めに目的有りき、これでは本末転倒だ。確かにコーヒーは利益率がいいけれど、うちの店のコーヒーの粗利などたかが知れている。オーガニックがそれほどラクに稼げる商売に見えるのだろうか。今、確かにブームだけれど真面目に丁寧に仕事をすればするほどオーガニックで儲けることは難しいと実感する。素材の確保、料理への配慮、環境への負荷をより少なくするための工夫・・・手間のかかる仕事だと思う。これから始めようとする方に向かって水をさすようなことをお話してしまったけれど、これが私の正直な感想だ。
旬の野菜を中心にどうしたらお客様に飽きのこない美味しいお料理をお出しすることができるのか、今日も私は考える。車を運転していても料理の本をめくっていても、頭の中は何を作ろうかなとアイデイアを練り続けている。そんな今日のメインはカボチャのはさみ揚げ。炊いたモチキビを野菜と一緒に間に挟んでフライにした。ほんのり甘くて優しい味がする。付け合せはズッキーニとゴーヤ。頭の中に描いたものが美味しく出来上がると一日中幸せな気分!

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Comments

kenさん再度のコメントとお店のことを誉めて?いただいてどうもありがとうございました。
私の店の場合、自ずと個性というものが滲み出てしまっているので、お好きな方とお好きではない方というのが、はっきりわかれてしまうような気がします。ただ私にとって店というのは自分自身の生き方(趣向性も含めて)そのものを表現する場所なので、それを変えようと思ってみても、中々難しいでしょうね。もちろん細かい点で改善すべき所は少しずつしていきたいと思っていますし、日々、変わり続けていく部分もあるのですが、大きな方向性というか、大事にしたいものというか、そういうものはやはり変わらない(変えなれない)のでしょう。
ただ何となく、ただゆるやかに、そう言ったものを感じていただけたら嬉しいです。

Posted by: 風楽 | July 31, 2006 at 10:43 PM

コメントへの返答をありがとうございました。
風楽に行くといつも驚きがあり、楽しくそして美味しく食事させてもらってます。落ち着きを貰って帰ることができます。
風楽は何気においてある本なども面白くて良いですし、場所柄でもないのでしょうが、「地域」という芯、宗吾参道という縁を感じ、これまたとても心地よく時間が過ぎていきます。
千葉が持つオーガニック食材の懐の深さと質が、風楽の手によって自然な形でかつアジア風の意味を加えて演出されている、個々の料理が個々の展示や音楽が互いに主張しすぎないで共存している、風楽はそういう空間かと存じます。私は大変に気に入っています。
少しご無沙汰したのでそろそろ訪れて風に吹かれてみたく存じます。

Posted by: Ken | July 30, 2006 at 08:57 AM

kenさんありがとう。
男性の方でkenさんのようにお店の中をよおく見ていらして、ゆっくりとお食事を楽しまれる方というのは、すごく少ないなあというのが、実状のような気がします。男性の場合、ほとんど奥様に連れてこられる?という感じで、もしお一人だったら、多分、いらっしゃらないだろうなあという方が多いのではないでしょうか?
男性の方で食べ物に興味を持って、食事時間そのものを楽しめると言う方はすごく貴重だと思います。男性も女性も生きていく上で食は欠かせないので、同じように感じていることや問題意識をシェアし合える関係、そして美味しいものを「美味しいねえ~」と言って一緒に食べられる関係というのはすごく素敵だなと思います。

Posted by: 風楽 | July 30, 2006 at 01:15 AM

男性も同様に、店の人の雰囲気・態度、内部の落ち着き具合、内装、音楽、お客さんの静かさ度合い、トイレ、大仰にならない程度のサプライズ、などをチェックしています。
都心のオーガニックの店でもバイキングの店と、風楽のように一つ一つサーブしてくれる店がありますが、バイキングはどうも雰囲気が落ち着きません。店員さんもあわただしく料理の追加を入れ替えたりしてます。やはり私は後者の方がその店のご亭主やマダムの個性と方針があぶりださせるようなので、好きです。
オーガニックでも比較的大き目の店やチェーン店も駄目なような気がします。店員さんがマニュアル的な対応をし知識も無くこちらの聞きたいことにもこたえてくれない、客の出入りが慌しい、値段が高くてまずい、などがその理由。
何でも(グリーンツアーでも、田舎体験でも)そうですが、大量処理、大量生産はオーガニックにそぐいません。
後は一緒に訪れる連れによって変わります。男は概して早く食べてしまって、次の行動をとりたがるので、そういう人といくと、ゆっくりと味と雰囲気を堪能したい私は、連れに対して罪のような気分を感じてしまい消化に悪いです。話がずれてしまいました。

Posted by: Ken | July 29, 2006 at 11:40 PM

こでまりさんありがとう。
久しぶりです。私もどこかに何かを食べに行くとしたら、やっぱり自分の好きな居心地のいい店を選ぶと思うので、けっこう店選びは重要なポイントですね。ただ食べるだけではなく、そこで過ごす時間全体が気持ちいいものであって欲しいなあと思っているからです。でもそういう店は本当に少なくて残念。
風楽が皆さんに愛されるお店になるよう努力していきますので、これからもどうぞよろしく!

Posted by: 風楽 | July 24, 2006 at 05:20 PM

大抵の人は店の雰囲気なんて見てない、というのはどうなんでしょうね。統計を取ってみないとね。私たち女性はお店の内装、お店の方の態度、調度品そのほかから、そのお店の、食事(やコーヒーなど)を出す、ということに対する真摯さを敏感に感じて、好き嫌いを判断すると思います。自分と顧客の喜びを伴わない仕事、ただ儲ければいい、という仕事は、どんな仕事でも長続きしないのではないでしょうか?・・それでも、風楽に立ち寄ったというところは、その方、目が高いかも?!

Posted by: こでまり | July 23, 2006 at 08:56 PM

どらえもんさんありがとう。初めまして。私はブログを毎日書いているわりにはよそ様のブログをほとんど見に行ったりしないので、ブログの実態?というのはあまり知らないのですが、本当にたくさんの方がブログを読んでくださっているのですねえ。
妖怪人間相手のお仕事って一体なんだろう?ってどらえもんさんのページも見せていただきました。どんな妖怪に会いましたか?・・・なんてね。どうぞこれからもよろしく!

Posted by: 風楽 | July 23, 2006 at 12:10 AM

初めまして

どえらえもん、といいます。

ココログの検索でこちらにたどりつきました。

毎日毎晩いろんなBlogサイトを拝見させていただいてますが

どれも私の知らない世界ばかりで、

いかに自分が世の中を知らないかを

痛感させられます。

こちらのサイトもとても興味深いです。

いつも、でたらめな妖怪人間を相手にしている自分とは大違いです。

どうもお邪魔しました (^^)

Posted by: どえらえもん | July 22, 2006 at 12:06 AM

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