December 31, 2006
いよいよ今年、最後の一日。やらなければならない仕事をようやく全部片付けることができ、朝から厨房でお節料理作りに励む。お正月用のケーキやカレーのストックなどを作ったりしながら、一つ一つ、残っている仕事を終わらせていった。
お節作りは今年初めての試みだったので、量や価格の相場がわからず、いざ作ったはいいが詰める段階でどのくらい入れたらいいのだろうと悩んでしまった。それにやけにたくさん作りすぎて今日の賄いは随分、豪華になってしまった。実際にやってみないとわからないことが多いのでとてもいい勉強になった。来年は、年末の仕事として定着させていきたいと思っている。チラシなどで早くからお知らせして、より多くの方に食べていただけるように準備したい。

ここ1週間は本当に忙しく、毎日、12時近くまでずっと仕事をしていた。その忙しさもようやく終わる。たくさんやることがあって、忙しさに追わそうになった時は、とにかくやらなければならないことを紙に書き出すようにしている。はるか山の向こうの頂上ばかりを見上げるよりも、まず数メーター先の目の前にある景色を見ながら歩いていけば、いつのまにか頂上に辿り着くと話していた登山家がいた。忙しくなるといつもこの言葉を思い出す。力まずにまず目の前にあることから淡々とやっていくこと。自分でやる仕事というのは、そういうことを訓練させていただけるかっこうの場でもある。
わらの船越さんのお話の中にもあった。「本来、雑用というのはないんです。用を雑にしてしまうから雑用になってしまうだけなんですよ。今、目の前にある仕事を精一杯やって、時間を有効に使ってこそ、命を生ききるということです」。
今を生きる力を持とうとせず、未来に生きる力のみを必要としていても、決して自分の望む未来を手に入れることはできないだろう。なぜなら今の延長上にあるものが未来だからだ。
今年、私はそのことをとても実感した。今ある自分は今まで生きてきた自分の結果にすぎない。今を精一杯生きていくことがどんなに難しく、そして素晴らしいことなのか、この年になってようやくわかった気がする。いい年の終わり方になった。ようやく静かな年の瀬の時間を迎えられそうだ。そしてお世話になった皆さんやたくさんのお客様、友達、スタッフ、一年間、どうもありがとうございました。おかげさまで無事に一年を終えることができました。どうぞよいお年をお迎えください。
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December 30, 2006
お正月に店の前に出しておく看板を作ろうとずっと思っていた。風楽の隣りには喫茶店がある。同じ建物で二軒が並ぶ形になっているので、全く知らない方は同じ店だとカン違いされるようだ。以前使っていた方は2階に住みながら、喫茶店の方を娘さんが、うちの店の方を親御さんが食堂として経営されていた。その名残が今も残っているので、ぱっと見ただけだと本当に2軒の店の区別がつくにくいのだ。
壁画を描いてもらったり、植木を置いてみたり・・・といろいろ違いがわかるように工夫しているのだが、初めていらした方にはわかりずらいようだ。特にお正月の参拝客は常連ではない方が多いので、余計、店の入り口の区別がつきにくいだろう。
そこで今年は大きなメニューの看板を表に出すことにした。せっかくなら料理の写真も付けようと思って、今まで撮っていた写真をピックアップしてプリントアウトした。でもお正月の定食はおかずを減らして値段を下げるので、今まで撮ってきた通常の定食写真は使えない。それでお正月メニュー用の写真も撮影。その後、手書きのメニューに写真を貼り付けて看板を完成させた。これで入り口が少しはわかりやすくなるかな。看板効果があるといいのだが。
そんなことをしているうちに、今日は1時過ぎからお客様がどんどんいらしてくださって急に忙しくなった。ここ数日、ずっと超ヒマ状態だったので、年末だというのにどうしたんだろう?ってこちらの方が驚いてしまった。お節を作る時間もなくなり、結局、夕方に出かけて用事を済ませてから夜、厨房に立った。
今年もいよいよあと一日。明日は強力な助っ人が来てくれるので心強い。年内にやることは明日中にみんな片付けて、お正月の夜はのんびりしようっと。
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December 29, 2006
暖かかった昨日とうって変わって北風が冷たい一日だった。日中は今日もヒマだったので、気がかりだった年賀状の宛名書きをようやく終わらせ投函してきた。今夜、この後、パソコンへ残りの経費を入力してしまえば、一年分の集計表がほぼできあがる予定。ここまでやっておくと確定申告の時にとてもラクだ。
夕方は今年最後の農家さんの取材に行ってきた。お正月一本目のメルマガは今から取材しておかないと間に合わないからだ。風が冷たくて立って話しているだけでも寒くて震えてしまうのに、朝から一日中、畑に出て刺身のツマにするための大根を抜いているそうだ。4人がかりでとても大変そうだった。年末はツマもピークなのだそうだ。その後、足りない食材の買い物に行ってきたので、明日からは注文いただいたおせち料理に取りかかれる。身欠にしんもお米のとぎ汁に漬け込んでおいた。
明日の日中はお正月に店頭に出すメニュー看板を作らなくては。夕方はにわとりひろばの湯浅さんの家まで、みんなで個人的に注文しておいた玄米もちを取りに行って、その後、あいりん堂さんに行って、三が日の間、使えるような冷蔵庫を貸りに行く。それから灯油を買って、お正月用のお花を買って、お飾りを作ったら、ようやく正月を迎える目処がたつ。少しずつだが年末の仕事が片付いていくことにほっとしながら、やっぱり年末って忙しいし出費も多い!・・・と痛感している。それに店を開けている間よりも、閉めてからの仕事の多いこと多いこと。自営業をしている以上、ずっとこの繰り返しなんだろうなあ・・・。好きなことだからやれるけれど、もし仕事が嫌いだったら年末が近づいてくるだけで音を上げてしまうだろう。
夕方、買い物に行ったら鯛のアラがあったので買って来た。三浦大根を大きく切って厚揚げと一緒に鯛のアラ汁にした。どんぶりによそってアツアツをフーフー言いながらいただく。寒い日のご馳走だ。夕飯をほんの少ししか食べない私はお汁だけでもうおなかいっぱい。1パック200円の鯛のアラといただきものの三浦大根でなんと安上りな夕食。
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December 28, 2006
昨日のライヴの後はそのまま渋谷の実家に行って泊まってきた。父と会うのは久しぶり。82歳。会う度に年をとっていくのを感じる。私にとって父というのは本当にコワイ存在で、子供の時から父には心をひらくことができなかった。父は大正時代の裕福な家庭に生まれたお坊ちゃんだ。そのため私を「お嬢さんらしく」育てたいという思いがとても強く、小さい頃から私をお人形のように扱い言うことを聞かせようとした。
こども心にそれがとてもイヤだった私は、どうして父は私の気持ちをわかってくれないのだろうとずっと思っていた。病弱の母は父の言うなりだった。中学の頃には伏せっている母に代わって私が家事全般をやらなければならなくなった。学校の帰りにスーパーに行き食材を買って家族の分の食事を作った。
思春期と重なり、そんな生活がとても苦痛だったのだが、父に対して真っ向から反発することができず、ただ口を聞かないということで意志表明?してきた。私が早くに結婚したのも父の抑圧から逃れたい一心だったのだろう。父の反対を押し切って家出同然で結婚してしまった。あの時、初めて私は父と対峙し、自分の気持ちを父にぶつけることができた。私にとって、それはよかったのだが、世間体や家柄や社会的地位を第一に考える父は自分の納得できない相手の所へ行ってしまった娘に対してずっとわだかまりを持っていたようで、結婚してからはほとんど会わなくなった。
その後、父が心筋梗塞で倒れてバイパス手術をしたり、祖母や母も亡くなり、父と会う機会も増えていった。会えば今でも私に小言を言う。昨夜もそうだ。夜、実家に着くなり「遅くまで何をやっているですか?!」「いつも顔を見せないくせに突然来るなんて・・・」と40過ぎた娘に向かってここぞとばかりに愚痴や文句を並べる。でも私はいつのまにかそれを笑って聞けるようになっていた。親は当然、子供よりも先に年をとっていく。そして親を変えることはできない。真っ白の頭とおぼつかな足取りになった父に今更何を求めようというのだろう。子供の方から歩み寄るしかない。
「人生にとって最大の課題は親に感謝し全てを受け容れることだ」と言った友達がいたが、まさに私にとっての課題もそこにある。昨日は帰るつもりになれば帰れる時間だったけれど、お正月も来られないのだし、せっかく近くまで来たのだから泊まっていこうと思った。今でも価値観の違う父と話すことは私にとっては大変なことだ。だけどこの人がいなければ私はこの世に生まれてこなかったのだ。こんなに楽しい人生をおくることのできる元気な体と、決して賢くはないけれどモノゴトを柔軟に考えられる頭と、いつもワクワクできる心を授けてくれた人である。今、私はこの世に生まれてきたことを本当に感謝している。そのことを父が生きているうちにちゃんと伝えなくては・・・と思って行ったのだが、やっぱり父の顔を見ていると何も言えなくなってしまった。
「一番上の子は何て名前だったかな。まだ学校に行っているの?」何度話しても私の子供たちの名前と年齢を覚えることができない父。「忘れないようにノートに書いておくからね」と父の血が流れている4人の子供たちの名前を順番にノートに書いた。今度は子供たちも連れてこよう。
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December 27, 2006
インデイアンフルートを始めとするネイティブな音楽がとても好きで一時期、ずっとそればかり聴いていた。ここ1、2年は女性ヴォーカルのものを多く聴くようになり、特に綾戸智絵はお気に入りのミュージシャンの一人。波乱に満ちた人生であっても、本当に好きなことだけは諦めずに、ずっと歌い続けてきたというその生き方が好きだ。自分の過去も全てOKと明るく話せる前向きさ。そういう人生を生きてきた彼女だからこそ、味わいある歌い方ができるのだろう。
中々時間の都合が合わなくて、ずっとコンサートに行けなかったのだが、今回、スィートベイジルで年末ライヴをやいるというので、迷わず予約をしてしまった。このところ店はヒマなのだが年末に向けて私の仕事は何かと忙しい。それでも昨日は店が終わってから8時間パソコンの前で仕事をしたのだから、今日は大手を振って出かけなくっちゃ~と閉店と同時に店を飛び出した。
スィートベイジルはとてもオシャレで、ほぼ毎日、一流のミュージシャンが出演している私の好きなライヴハウスだ。六本木という立地といいオシャレな内装といい、演出の仕方といい、ここまで充実したライヴハウスは他にないのではないかと思う。初めて生で聴くので前の方に座りたいなあと思っていたが、急いで来ても到着は開演のギリギリ前。2階席となってしまい残念だったが、大きなホールで聴くよりもずっと身近な距離だ。
本当に楽しそうに歌う人だ。ピアノと一体になって体まで踊っている。関西弁でのトークは爆笑ものだが、歌とトークが同じ量くらいなのでもっと歌を聴きたい私としてはちょっとヤキモキ・・・。それに今回は2stの総入れ替え制だったので1st目はやや短めだったような気がする。アンコール曲は「テネシーワルツ」。綾戸智絵が歌うと本当に素敵。いい音楽に生で触れると心がすごく満ち足りて元気になってくる。こういうひとときは私にとても必要な時間だ。
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December 26, 2006
クリスマスが終わるとさすがに人出も減ってくる。特に今日は冷たい雨が一日中降って寒かったのでお客様も少なかった。でも年末なのでやることはいっぱいある。厨房から抜けられる時間を見はからって仕事に取りかかった。まずは年度内最後の食材の発注と野菜の注文。お正月は忙しいので多めにストックしておかなくては。
その後はお正月用のメニューを作成する。毎年松の内の間は簡単なメニューに差し替えている。定食はデザートとコーヒーをお付けしない代わりに価格も1200円に値下げし、その他のメニューもある程度、制限させていただいているからだ。
それから年賀状をようやく作成した。毎年、自分で撮った写真に文章を入れてパソコンで作っているのだが、中々思うようにデザインできないので、とても時間がかかってしまう。離れていて中々会えない友達やパソコンのない方などにお送りする程度で枚数は年々減らしているが、それでも作ることから始めるとなると年賀状にはかなり時間を取られる。
そして今夜、この後は一年分の収支をパソコンの出納帳に入力していく作業が残っている。毎年、確定申告前にイヤイヤ行っているのだが、今年は早めにやることにした。年内に終わらせておけば年明けがとてもラクになる。数字を追っていくのは私の最も苦手とするところだが、一年分のお金の動きをまとめていくと、本当に一年間よくがんばった?と思う。特にうちの店は売上の差が激しいので雨の日もあれば晴れの日もあって、そんな中でもよく毎日、やってきたんだなあと、入力しながら感慨深くなってしまう。
来年からは月ごとに売上の目標を具体的に立てて、苦手だけれど少しは経営者的な発想?をしていこうと思っている。事業計画なんて立てたことはないけれど、普通の企業だったら当たり前にやっているんだろうなあ・・・。
好きなことをやっているのだから、食べていけるだけでもありがたいと思う気持ちに変わりはない。きちんとした素材できちんとしたお食事をお作りするというオーガニックの仕事は、実際、儲からないのだが、それでも工夫次第では利益を上げて経営的にも成り立たせられるというモデルを作りたいのだ。なぜならこういうお店が増えていけば、無農薬野菜を食べる人たちが増えていくからだ。無農薬野菜を食べ続けていきたいと願う人たちが増えていけば、日本の農業を守りたいと思う人たちが増えていく。環境を次々に破壊しながら大量生産大量消費にばかり目を向ける社会にNO!と言える人たちを増やしたい。そして野菜を通して環境を考え、暮らし方を考える人たちが増えていったら嬉しい。
先日参加したセミナーで船越さんは「食べ物を変えれば運命が変わる」と話されていた。ちょっとオーバーな言い方のように聞こえるかもしれないが、それは本当だ。美味しい無農薬野菜を食べることから見えてくる地球の未来と自分の生き方。そんなことを多くの方に私もお伝えしたいので、来年は経営的にも必ず店を軌道に乗せていく。それは今から決めている来年の目標の一つだ。そんなことを力まずに楽しみながらやっていきたい。そういう仕事のやり方は絶対にあるはずだ。なかったら自分で模索しながら創っていけばいい。そして自分自身もそこから多くを学び成長していくことができたら、こんなに嬉しいことはないだろう。
そんなことを考えながら、かれこれもう6時間もパソコンに向かっている。写真はわらでいただいた具沢山のうどんすき。寒い夜には鍋が恋しくなる。
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December 25, 2006
昨夜10時頃に帰宅して、そのまま原稿を書く仕事が残っていたので、1時過ぎまでパソコンの前に座って、2時頃ようやく寝ることができた。散らかっていた家の中を片付ける暇もなく、早朝も原稿書きの続きをしてそのまま店に。簡単な引継ぎをしてから厨房をサッチーに任せて銀行へ。25日は引き落としがあるので、その前に入金しておこうと思っていたのをウッカリ忘れてしまった。家賃や食材の振込みに銀行を3件ハシゴする。それからホームセンターに行って足りない備品を買い揃え、昼過ぎにようやく店に戻れた。留守の後というのはいつものことながら忙しく、わらでののんびりした時間がはるか昔に感じられる。
午後からはクッキーと人参ケーキを焼いた。お客様からクッキーとケーキの詰め合わせのギフトを3箱頼まれたのだ。店では箱というものを日常的に使っていないので、今までギフトはお作りしたことがなかった。でも詰め合わせができるような箱を探して買ってきて、お菓子を詰めていけば、すごく可愛いギフトができるということに気がついた。今日の中味はオートミールとレーズンのクッキー、柚子クッキー、そしてノンシュガーのマクロクッキーを袋詰めにして、隣りに人参ケーキを入れた。予算は2000円。遠くに住むお友達にお送りするそうだ。
箱詰めをしていて、とても楽しくなった。クッキーやケーキの美味しいお店はたくさんあるけれど、素材を吟味したこういう手作りの詰め合わせをもしいただけたとしたら、私も嬉しいな。夕方、ギフトを取りに来て下さったお客様もとても喜んでくださり、「箱詰めの見本を店頭に並べてみたらほしい人もいるんじゃないかしら?」なんて言ってくださった。
作っている方もなんだかいつものクッキーがちょっとおすまししているみたいで愛おしくなってきた。
今までこういうケースはなかったのだが、やってみたらすごく楽しかったので、これからもご要望があればやらせていただこうと思っています。もし帰省や新年の手みあげなどにお使いいただけるようでしたら、個別にお作りさせていただきますのでぜひご利用ください。それに合わせてお菓子を焼くので2日ほど前にご連絡いただけると助かります。
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December 24, 2006
December 21, 2006
December 20, 2006
今日も再びレンコン料理。昨日が揚げ物だったので今日は油を使わないハンバーグにすることにした。よく見かけるレンコンのハンバーグはレンコンをみじん切りにしてひき肉と一緒に合わせて丸めるというもの。でも風楽では肉を使わないので、レンコン100%のハンバーグにした。しかも無農薬なので皮ごと丸々すりおろすことができる。皮ごとすりおろすと多少色が黒くなってしまうけれど、それは丸ごと料理をした勲章みたい?なものだから気にしない。
触感を残すために、すりおろしレンコンの中にレンコンのみじん切りも少々加える。そこに大きめのみじん切りにした人参、椎茸、長ネギを炒めて加え、片栗粉をほんの少々。あとは丸めてオーブンで焼くだけだ。肉を使わないハンバーグの場合、あんをかけないと表面が乾燥しがちになるので、粒そばを炊いて出汁で伸ばし、つぶつぶのあんかけにしてお出しした。
今日は朝一番で柚子のパウンドケーキも焼かなければならず、朝の厨房は忙しかったが、昨日のはさみ揚げに比べたら、すりおろす手間はあるけれどハンバーグはとても作りやすいお惣菜だと思う。
時々助っ人に入ってくれるアイちゃんが食事に来てくれたので、昼すぎになってから客席に座って一緒に話した。「人生に起る出来事一つ一つにはみんな意味があるし、必要なものは必要な時にみんな用意されているんだね。そして出会う必要のある人とは必ず出会っていけるんだよね・・・」私がそんなことを話したら、「本当に私も今、それを実感しているんです」とアイちゃんも言っていた。
それが確信できれば生きることはとてもラクになる。見えない流れのようなものに添って自然に生きていくことができたなら、無理な遠回りをしないですむし、余計な力みも抜けていく。そして肩肘はって生きる必要もなくなっていくんだろうなあと思う。そういうことをきちんと感じている人たちと、ゆるやかにつながっていくこと。そんな場に風楽がなっていけたら嬉しいな。
*私の尊敬する料理人「百姓屋敷わら」の船越さんのセミナーに参加するので、明日から4日間、ブログはお休みさせていただきます。岡山へ行く途中、名古屋で降りて伊勢神宮へご参拝に。とても楽しみ。
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December 19, 2006
昨日、収穫されたばかりの美味しいレンコンを今日は定食に使おうと決めていた。レンコンの中でも特に私の好きな料理はレンコンのはさみ揚げ。でもこれは本当に手間がかかるのでスタッフの3人体制の時にしかできない。モチキビ、グルテンミート、粒ソバ、ヒヨコ豆など、どんなものでもはさむことはできるけれど、私はその中でも特にアマランサスを炊いてはさんだものが好きだ。アマランサスはたんぱく質やカリウム、カルシウムなどの含有量がとても高く粘りのある雑穀だが、比重がとても軽いので水で洗う時、すぐに浮いてきてしまうので要注意。
今日は干し椎茸を戻したもの、人参、長ネギなどを刻んでごま油で炒め、八方出汁で味をつけたものを、炊き上がったアマランサスの中に加えて和風にした。レンコンの厚さを揃えて切り、同じ大きさのものを組み合わせて並べていく。そして内側になる方に小麦粉をふってから具を乗せる。この時、レンコンの穴に合わせてきっちりと詰めていくこと。この作業を手抜きすると中味が飛び散り、はさみ揚げは失敗する。その後、小麦粉とパン粉をつけてゆっくり揚げる。作り方は簡単なのだが手間がかかるので一人で20人分を作るとなると一時間以上はかかってしまう。中味に味がしっかりついているので、ソースや醤油をお付けせずに塩だけで食べていただくことにした。塩をひとふりするとレンコンの甘さがとても引き立つ。
すっきりしないお天気なのに、今日もたくさんの方に来ていただいた。近くのショッピングセンターは人であふれ駐車場も大混雑。クリスマスプレゼントやお正月用品などのお買い物で忙しい時期なのだろう。ただでさえも買い物が好きではない私にとって、この時期はますます買い物に行きたくなくなる。
でも世の中の流れがどうであれ、風楽の店の中の時間は相変わらずゆっくり流れているような気がする。
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December 18, 2006
農家さんが今朝、レンコンを掘るというので急きょ取材に行ってきた。レンコン堀りの現場を見るのは初めてだし、私はレンコンが大好きだから、とても楽しみだった。ゴムのつなぎのような服を着て胸のあたりまで蓮田の中に入ってレンコンを掘っていく。ホースで水を引いて水圧を地中にかけるとレンコンが浮き上がってくるのだそうだ。それを一つずつ取って、プラスチックのソリのようなものに積んでいく。最後は蓮田のヘリに人間だけが先に戻って、ロープでそのソリを引いて地上に引き上げる。その後、レンコンを洗って切って計量しコンテナの中に並べていく。たくさん注文が来ても一日に収穫できる量は100キロが限界だと話されていた。
水はけの悪い田んぼの稲刈りをやらせていただいたことがあるが、それだけでも足元がズルズルと沈みこんで立っていられなかった。もっと深くて沼のようになっている蓮田で歩くことがどれだけ大変なことか・・・。
このレンコンは有機認証付きの無農薬レンコンだ。レンコンは有機認証を取得する条件がかなり大変だということで数も少ないらしい。殺虫剤を使わないので、天敵であるザリガニを退治するためにアメリカナマズを蓮田に放って防除してきたそうだ。
野菜が手元に届くまで、一体どれだけの生育過程があって、それを育てている農家さんの手間ヒマかけた作業があることか・・・。生産現場を見せていただくことでようやくわかってきた。それを考えると野菜の値段って驚くほど安いなあと思う。ハネダシのレンコンを格安でたっぷり分けていただいた。キンピラ、はさみ揚げ、レンコンボール、煮物・・・・何にしても美味しい。たくさん仕入れたのでスタッフにもお裾分け。みんな大喜び。こういうおみやげを心から喜んでくれる人たちと一緒に仕事をしていくことができて嬉しい。
夕方、風楽の壁画を書いてくれた画家の谷川さんが来てくれたので一緒にお茶を飲み、その後で今日は陶芸家の西木さんが展示していた陶器の搬出のため来店。陶器を片付けていたら別れ難くなって、歪んだ形のかわいい湯のみ2つと四角い小鉢を4つ買ってしまった。時々店で使おう。
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December 17, 2006
今朝、よくやく待っていた燻製が届いた。北海道の友達が試行錯誤しながら無添加で作っている美味しい燻製だ。自然塩と本醸造の醤油や酢を使うなど調味料にまでこだわって、全て手作業で造られている貴重な燻製だ。ずっとお願いしていたのだが、一人で手作りしているため中々品数が揃わず、送ってもらうのが遅くなってしまった。
今回届いたのはホッケのスモークソーセージ、鮭の荒挽きスモークソーセージ、トバ燻製、真イカの燻製、牡蠣の燻製酢油漬、スモークチーズなど。ホッケと鮭は港から水揚げされたその日のうちに手でさばいて加工する。内臓も頭も骨も皮もカマも全部、捨てずに使うから、その作業はとても時間がかかる。ソーセージの中には骨と皮をミンチにして一緒に入れる。
私が特に好きなのはトバ(鮭の一夜干し)燻製と牡蠣の燻製。サロマ湖の牡蠣を殻から一粒ずつ出して、スモークしてからマリネにしてあるのだが、牡蠣の旨みが凝縮されていて何とも言えない美味しさに仕上がっている。
私は肉は食べないが魚は食べるベジタリアンだ。でも魚の練り製品は添加物の宝庫。まして魚肉をそのまま生かして無添加で造られている加工品などほとんどないと言っていいくらいだ。
造っている三尾谷ゆうとさんは化学調味料とタバコが大嫌いな人で、体質的にも受け付けない。自分が美味しくお酒を飲むために燻製造りを思い立つ。北海道の大自然と豊富な海の幸に惹かれ、そしてアイヌの人たちの暮らし方に現代人が学ぶべきものがあるのではないかと思って北海道に移住した。以来、独学で燻製造りを研究しながら、道具も燻製小屋も全て自分で作ってオリジナルの魚の燻製を販売するようになった。
でも無欲な人で少しのお金で生活していくことが身についているので、お金儲けには全く興味がない。だから手間がかかっているのに燻製の値段は驚くほど安いのだ。私も北海道の家に遊びに行ったことがあるが、魚が入荷された日は、鮮度のいいうちに加工したいからと言って、それこそ20時間以上、寝ないで加工場で作業を続けていた。その労力を賃金に換算しないで価格を付けるので、いつまでたっても貧乏暮らし?だが、好きなことをしているのだからと本人はいっこうに気にしていない様子。
でも残念ながら重たいものを持つ魚の仕事ですっかり腰を悪くして、今冬いっぱいでこの仕事を辞めて実家のある栃木に帰ることにしたそうだ。ここ数年、冬になると毎年手造りの燻製やサロマ湖の美味しい牡蠣や帆立を送ってもらっていたので、それが食べられなくなるのは本当に残念だ。でもきっとこちらへ戻ってきても何かしら食べ物を加工する仕事を見つけて、また美味しいものを作ってくれるのではないかと期待している。
燻製の一つ一つに「きれいな海を子供たちに!合成洗剤、原発、農(毒)薬をなくそう」と書かれた手書きのラベルが付いている。こんなにいい材料で真面目に作られている魚の加工品はちょっとない。よかったらぜひどうぞ。
今日はすごい人出で一日中、忙しく、昨日のコンサートの余韻に浸るヒマもなかった。この冬一番の売上となり、
終わってからレイコちゃんとアリミちゃんの3人でチャイを飲みながら祝杯を?あげた。「いつもこうだといいのにね~」が私たちの合言葉。だけどみんな決してそんなふうにならないことを知っている。
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December 16, 2006
本当に素敵な夜だった。毎年、12月になると風楽の店内に響くおおたか静流さんの歌声。毎回、様々なアーティストと組み趣向を変えてコンサートを創っていってくださる静流さん。今回はアコーデイオン奏者の佐藤芳明さんとのセッションだった。
日本の最南端にある波照間島で録音された一番新しいCD「SUGAR LAND」から「月ぬ美しゃ」を始めとする沖縄民謡の数々。そしてNHKで放送されている「にほんごであそぼ」の中から小さなお子さん向けの曲を歌ったり、私の大好きな「VOICE IS COMING」ではアコーディオンと響きあいながら、まさに今、空に羽ばたいていくかのような世界が広がっていった。
静流さんは小さなお子さんの話し声も、外から聞こえてくる車の音も、犬の鳴き声も、お客さんの笑い声もみんなみんな音楽にしてしまう。ひとたび静流さんが歌い出すと、みんなその声に吸い寄せられる。こんな素敵なコンサートが店の中で開催できるなんて、本当になんて幸せなんだろうって思う。たとえ準備が大変でも人集めに四苦八苦したとしても、その幸せを味わうためなら、どんなことだってがんばれる。
コンサートが終わってから、出演者とスタッフと一緒に食事をする時間は、コンサートの感想などを語り合える貴重なひと時でこれもまたとても楽しい時間。風楽のご飯をたくさんテーブルの上に並べて、お茶で乾杯し、「美味しいね~」と料理をつつきあう。
そして出演者をお送りした後は、今日の助っ人に入ってくれたケムちゃんとキマちゃんと3人でパウンドケーキを食べながら、12時過ぎまでアレコレと語り合う。ケムちゃんはいつも言ってくれる。「東京ではなくこの宗吾霊堂の前という場所に風楽があることが奇跡だね」って。そしてすごく風楽のことが好きで風楽のご飯を美味しいと喜んでくれる。そういう頼もしい助っ人がいてくれるからこそ、大勢の方をお迎えするコンサートができたのだと思う。
♪飛べ飛べ光に満ちた空へ 飛べ飛べ新しい命が今始まる~♪
「VOICE IS COMING」は誕生の歌だ。そして光に満ちた未来が始まることを予感する歌だと思う。今年の締めくくりにピッタリな一曲。新しい年も希望に満ちた一年になりますように。今日のコンサートの感動を共に分かち合ってくださった皆さん、どうもありがとうございました。
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December 15, 2006
今日も忙しかった。お子さん連れの方がとても多く、1時半にはご飯もすっかりなくなってしまった。明日のコンサートの向けてお菓子を少しでも作っておけたらと思って、ランチタイム時から大豆のクッキーを仕込み始めたものだから、もう大変。揚げ物をしながら味噌汁に味噌を溶き入れ、レーズンを刻み、バターを練る・・・なんてことになってしまった。いつもならランチのラッシュが一段落してから始める作業を、それも二人しかいない時に、広げてしまったのだから無理もない。2時には落ち着いたので、その後、むらさき芋のタルトを焼き、柚子のパウンドケーキを焼いた。
この柚子のパウンドケーキはこの前作った柚子のピールと手絞りの柚子果汁を入れて焼いたもの。写真では柚子の香りが伝えられないのが残念なほど、焼いている間中、厨房は柚子の香りにあふれていて幸せな気分。ほんのりとした柚子の香りが食べた後の口の中に広がっていく、とても美味しいケーキだと思う。アップの写真から、ほんのちょっと刻んだ柚子ピールが見えるだろうか。
これから寒くなるとお客様も減ってくるので、スィーツをいろいろ焼いて、ミレーを通してネットなどでも販売していけたらと思っている。だから風楽にとってスィーツ作りは冬の手仕事かな?。冬仕事と言えば樽に白菜を仕込んだ。明日あたりから食べられそうだ。柚子と昆布と唐辛子をたっぷり入れて漬け込んだ美味しい無農薬の白菜漬け。白菜の美味しい季節になってきた。
明日はおおたか静流さんのクリスマスコンサート。昔からファンだった私は下北沢のライブハウスに行った時、休憩時間に風楽のカードと名刺をお渡しして、「ぜひコンサートに来てください!」と直談判した。まさかあの静流さんが店に来て下さるなんて夢にも思わなかったけれど、以来、毎年、素敵な歌声を響かせて下さり、今回で6回目のコンサートとなる。
虹色の歌声を持つと言われる静流さんの声はまるで楽器のよう。あらゆる音を自由に音楽にしてしまう不思議な力を持っている方だ。ひとたび静流さんが歌い始めると場の気がふっと変わり、誰もがその声に吸い寄せられてしまう。毎回、店主からのリクエストを歌ってくださるのだが、何をお願いしようかな。悲しくてやりきれない、みんな夢の中、命短し恋せよ乙女、蘇州夜曲・・・静流さんが歌うと昭和の名曲が時空を超えて今に甦る。アルバム「リピートパフォーマンス」シリーズの選曲はスゴイ。明日は椅子を増やして40席にする。あと3席ほどあるのでご希望の方、お電話ください。とても楽しみで嬉しくて今夜は遠足の前みたいな気分で寝られそうもない。
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December 14, 2006

「地球と私のためのエコスタイルフェア」と題して1999年より毎年開催されている国内最大級の環境見本市である「エコプロダクツ2006」に行ってきた。主催は(社)産業環境管理協会と日本経済新聞社。持続可能な社会を目指して、環境負荷の削減、環境調和型の経済活動や社会活動、そしてライフスタイルを提案するために企業や行政・自治体、NPO、NGO、大学などあらゆる分野から参加者を募っている。その数たるや今年は550団体とか。各々が独自の方法で模擬店やワークショップ、活動のアピールなどを行っている。回を重ねるごとに規模も内容も拡大し、シンポジウムやライブ、エコカーの試乗、クイズやポイントラリーなど会場全体でも様々な企画が目白押しだ。また学級単位で子供たちが参加しにくる小学校などもあるそうだ。
安心して食べられる素材でお食事を作るという私の仕事も環境問題とは密接につながっている。安全な食べ物を食べ続けていくために、水や土や空気などの汚染には無関心でいられない。合成洗剤や原発、公害の問題など、あげればキリがないが、結局、私たちのしてきたことの結果が、私たちの生活に直接、跳ね返ってくるからだ。最先端のエコロジーの情報を知るため、そしてお店で扱えるような商品を見つけられたらと、ここ3年ほど私も毎年行っている。
今日は朝に取材が一つ入ってしまったので、それが終わってから、車で有明にある東京ビックサイトまで行くことにした。会場で友達と待ち合わせしていたのだが、今日は初日とあって人出が多く見つけるまでが一苦労。会場内にある特設のオーガニックカフェも人でいっぱいで座る場所もなかった。
3年も行き続けると、出展者の顔ぶれも決まってきて、今年は特に新しい商品を見つけることはできなかった。それにしても会場内で無料配布されるパンフレット類の多いこと多いこと。なるべく受け取らないようにしようと通りすぎるのだが、いつのまにか手は配布物でいっぱいになってしまった。エコロジーをテーマにしたイベントなのだが、会場内はキャンペンガールが自社の活動をアピールするのにたくさんのカラーチラシを配っているし、アンケートに答えるといろいろな粗品をもらえるので、それに一つ一つ答えると膨大な量の荷物になってしまうのだ。
会場の一角にとても丁寧に作られている商品を扱う生産者さんたちのコーナーがあった。そのうちの何件かとは取引もしている。大企業のきらびやかなショーブースよりも、こうした小さくても地道にやっている人たちのコーナーにいて、知っている商品が並んでいるのを見たりするとほっとする。
確かにその時代の動向や最新情報を知るにはとてもいいイベントだと思うが、私自身はもう来年は行かなくてもいいかなと思った。わざわざ東京までお金と時間をかけて、出かけなくても、自分の店でできることをしていた方がいい。野菜を残さず葉から皮まで使いきること。食べ物を捨てないこと、油汚れのあるお皿はロールペーパーで拭きとってから石けんで洗うこと、ビニール袋やラップなどはなるべく使わない。いろいろなものを使い回すこと、エアコンはマメに消して温度設定も気をつける・・・etc.自分の生活や仕事の中で当たり前に実践していることが、私にとってはエコロジーに配慮されたハイテクの最先端機器を導入するよりも、ずっとエコだ。
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December 13, 2006
風邪が流行っているようだ。レイコちゃんも熱を出してしまい、昨日、今日と早めに帰った。今日も本当はもっと早く帰らせてあげたかったのだが、お客さんが途切れず中々言い出せなかった。2人で回すこと自体、ギリギリなので、体調の悪い時はやりくりが大変だ。風楽のように小さな店の場合、経営者と言っても名ばかりで、実際には買出しから料理から経理まで、店にまつわる諸々のことを全て自分でやらなければならない。スタッフは店を閉めたら仕事は終わるが、私はその前にも後にも仕事はたくさんある。だから店を始めてから健康管理だけは人一倍気をつけるようになった。夜更かしや夜遊び?は得意だけれど、次の日に疲れを引きずらないように寝られる日にはたっぷり寝ておく。うがいと手洗いはもちろんのこと、野菜をモリモリ食べること、そして部屋を暖かく(夏は涼しく)し過ぎないこと。それでも風邪はひく時にはひいてしまうのだけれど。みなさんもどうぞお気をつけください。
夕方、ショパンさんがフラリと店にやってきた。自家製のライ麦や小麦粉でサワー種を培養し、無農薬の小麦とライ麦を石臼で挽いて全粒粉にしてパンを焼いている人だ。風楽の収穫祭やイベントでも時々パンを売りに来てくれる。店でも定期的にパンを販売したいと思うのだが、中々それも叶わず、たくさん焼けた時だけ、パンを持ってきてくれる。家でもショパンさんのパンは昔から食べているのですごく馴染み深く、夕方、2つほど家に置いておいたら、さっそく子供たちに食べられてしまった。
数に限りがありますが明日、店頭で販売していますのでご希望の方どうぞいらしてください。どっしりしていて小麦粉と酵母の風味たっぷりの味わい深いパンです。
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December 12, 2006
高柳さんのお宅で落花生の選別をやらせていただいた。畑で何かできることがあればと思って出かけたのだが、「お早うございます!」と挨拶すると「おう来たか。少し遊んでいくか?」という高柳さんのお返事。農家の方にしてみたら素人のお手伝いなんてお遊び?みたいなものなのだろう。
この前の畑仕事ではすっかりずぶ濡れになってしまったので、着替えまで用意して寒くないように重装備で来たのだが、今日の作業は縁側で落花生の選別をするという。高柳さんが自宅にある落花生炒り機で炒り終えたアツアツの落花生を運んでくると、それを箕の上に広げて、色の汚いものや殻が壊れているものなどを手で一粒ずつ避けて行く。その後、選別したものを袋に詰めて計量しシーラーで封をして出来上がり。縁側にブルーシートを敷いて延々とこの作業を繰り返す。
午後からは高柳さんのお嬢さんのアユミちゃんとトモコちゃん、そして三芳自然塾から遊びに来ていた男の子、奥さんの妙子さんと私、お孫さんのマチちゃんまで加わって縁側であれこれ話しながら手を動かしていく。「みんなでやると早いし楽しいわねえ~」と妙子さん。気の長い作業を地道にやれる方だ(写真)。
炒りたての落花生はとても香ばしい。高柳さんは千葉半立という落花生の中でも一番甘くて美味しいものを無農薬で作っている。千葉に来て初めて「野積み」というものを知った。掘り終わった後の落花生を畑に積み上げて乾燥させることを言うのだが、千葉県内の晩秋はあちこちでこの野積みを見かける。落花生は掘ってすぐ食べるのではなくこうして冬まで屋外で乾燥させてから初めて機械で炒ることができる。
炒る前にもトウミをかけてある程度選別し、炒ってからもさらに手で選別していく。一連の作業を体験すると、落花生が袋に入って手元に届くまでいかに手間と時間がかかっているのかよくわかる。
「気の長い作業ですね~」と夕方、お茶を飲みながら話すと「でも、種まきから炒り具合まで自分で確認しながら、落花生が口に入るまでの工程を、全部自分でやれるって、スゴイ贅沢なことをしているって思うよ。その作業に喜びを見出せなかったらやってられないけどね」と言う。
一体、この労働を賃金に換算したらいくらになるのだろう。だけどそういう対価を超えたところに価値を見出すことができるからやれるのだと思う。お金という価値観には代えられない「ものを作り出す喜び」がそこにある。
作業中、「落花生をつまみながらやってね」と言われていたが、一度食べ始めると止まらなくなるのがわかっていたので、ずっとガマンしていた。夕方、今年の落花生を初めて口に入れる。甘くて芳ばしい。落花生の淡い黄色が宝石のように光って見えた。
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December 11, 2006
今日は忙しかった~!いいお天気だったので、朝から何となく忙しくなりそうな予感がしたのだが、珍しく予感が的中し?定食もすっかり完売。特に午後からはマキコちゃんと2人だけだったのでブログ用の写真を撮るヒマもなく、今日の写真は一昨日に作ったヤーコンのきんぴらをご紹介。サラダにしても天ぷらにしても何にしても美味しいオリゴ糖たっぷりのヤーコン。きんぴらにすると独特の甘さが広がって砂糖はもちろんのことみりんも全く必要ない。あんまり甘いので代わりにちょっと塩を加えるくらいだ。
今日、お世話になっている曹洞宗のお寺の大黒さんがおかげさま農場のアユミちゃんと一緒に食事に来てくださった。いつも私のことを応援してくださる頼もしいお寺の大黒柱である奥さんだ。開店前の内装工事をお手伝いしてくださったり、いろいろなお客様も紹介してくださった。でも閑散としていた開店当初の様子をよくご存知なので、今日の混み具合をみて「よかったわね~。お客さんがたくさん入っていて!最初は借金もあるし、お客さんの数も少ないし本当にもうハラハラして見ていられなかったわ。よくここまでがんばったわね~。いいお店になったじゃない・・・」と声を詰まらせる。
たまたま混んだ時に居合わせていただいただけで、今だって大変なことには変わりないし、暇な日は相変わらず多い。でも1年目は自分の給料は店から一銭も出せなかった。正直、いつ店を閉めようかとずっと悩んでいた。子供の学資保険を解約し、ささやかな定期預金を解約し、経費を支払い借入金の返済に充てた。それを思えばほんの少しだけ自分のお給料が出せる今は本当に奇跡のようだ。
そんなことを自分のことのように喜んでくださる大黒さん。たくさんの方たちがきっとハラハラしながら私のことを見守っていてくださったのだろう。決して目には見えないのだけれど、たくさんの人の思いの中で人は生かされている。もしこの店をやっていなかったら、そういうことに思いをはせることもなく、自分ひとりの力だけでここまでこられたと思っていたかもしれない。
今でも一喜一憂しながら、毎日が崖っぷち状態?だけど、崖っぷちからしか見えない景色というのもあるんだなあと思えるようになってきた。そして今日みたいにちょっぴり売上のいい日があったりすると、それだけでもうほっこりした気分。雨が降る日もあれば晴れる日もあって・・・だけど変わらずに自分の仕事が大好きだと思えることの幸せ。崖っぷちにいたって、人が生きていく上で何が大切なのかということをわかってさえいれば、充分、人生は楽しめる。
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December 10, 2006
寒かった昨日とうってかわって、昼過ぎから陽射しが差し込み暖かな一日となった。そのせいかお弁当を注文して下さる方が多く、朝から忙しかった。今日は聖護院大根を厚めに切って豆乳のシチューを作った。と言っても牛乳やバターは使わない。日曜日はマクロビオテイックを希望される方も多いので、お食事もそうだが、マクロ仕様のクッキーやケーキ(卵、乳製品、砂糖を使わないで作ったもの)もご用意した。
シチューの中に一緒に炊き込んだつぶつぶはヒエ。実はこのヒエ、以前、私は雑穀の中では一番苦手なものだった。何となく泥臭くて色もキレイではないし、白いご飯に入れて炊いても匂いがついたような感じがしてとても食べにくいなあと思っていた。
10年以上前になるが大谷ゆみこさんが提唱する未来食のサバイバルセミナーに参加した時、ヒエをシチューにして食べることを知って、それこそ目からウロコ?!状態になった。以来、私もすっかりヒエが好きになって、今ではコロッケにしたり、サラダにしたり、ムニエルにしたりとよく使う雑穀の一つになった。大谷さんのヒエシチューのレシピはかなりシンプルで豆乳も使わない。出汁も昆布だけだ。店でお出しする時はそれをアレンジして、豆乳を加え出汁は昆布の他、かつお節でひいたものを加えている。青味には白菜をザクザクと切って最後に加えた。
聖護院大根の味をひきたたせたかったので、他の野菜は使わずに白菜と聖護院大根、そしてグルテンミートを小さく刻んだものだけで作った。
味付けは味噌。和風の豆乳味噌仕立ての煮込みシチューだ。地味な料理だけれど、ヒエの甘さと聖護院大根の味がとてもよく似合っていた。雑穀料理は発想を自由にすればかなり広がっていく。それに何と言っても雑穀は栄養価が高く体に優しい穀物なので、野菜と同じくらいたくさん摂りたい食材だ。
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December 09, 2006
今日は印西市の女性起業支援講座の講師としてお話しに行ってきた。男女共同参画事業の一貫として開催される講座の一コマだ。年末の土曜日ということで皆さん、お忙しいのか参加者はとても少なくて、こじんまりとした会だった。テーマは「オーガニックを仕事にするということ」。昨年に引き続き2回目の講座となった。お店を開業するにあたっての一連のドタバタ?は、昨年、お話させていただいたので、今回は「オーガニック」とは何か、そしてそれがどう自分の生き方とリンクするのかということについてお話できたらと思っていた。
オーガニック(有機)というのは命が存在する、それぞれが連なり合って共存しているという意味があると私は思っている。私にとってオーガニックとは、ただ自分が健康になりたいから安心して食べられるものを選びたいということだけではない。もっと目に見えない人とのつながりや自然との共生なども含めて「いのち」というものを考えていくための選択の一つだ。大量生産、大量消費、そしてモノの価値の見えにくくなっている時代の中にあって、オーガニックを仕事にしていくというのはかなり大変なことだと思う。顔の見える関係の中で丁寧に作られたものを選び、素材を無駄にせず、資源やエネルギーを大事に使いながら手をかけて料理していくこと。でもそれは残念ながら大量には生産できないし利益も少ない。だけど世の中のこれでもかこれでもかと流れてくる消費文化の情報に惑わされることなく、自分の好きなこと、気持ちのいいこと、納得できることを仕事にしていく方が、余計なストレスを抱えずにすむし、ずっとラクに生きていけるのではないだろうか。そんなことをお伝えしたかったのだが、参加された方たちがどのように受け留めてくださったのかはわからない。
店に昼過ぎに戻ったが冷たい雨が降り出してヒマだったので、店の方はスタッフに任せて私は2階で会計を始めることにした。一年分の領収書や振込みの控えを経費ごとに分類してパソコンに入力していくのだが、毎年、年末から年始にかけての一大仕事となる。始めるまで気が重いのだが、今年こそ、早めに終わらせて確定申告前に慌てることのないようにしたいものだ。
夜は久しぶりに子供たちがみんな揃ったので一緒に食事に行った。それぞれフリーターとは言え働いているので、毎回、食事に行く時は今日は誰が持つかを協議して?私だけがスポンサーにならなくてもよくなった。ちなみに今日は私と次男が折半で出資。お好み握りをバラバラで注文し、海鮮丼、海鮮サラダ、白身魚フライ、石焼ビビンバ、チャーシューの何とか、角煮・・・など各々が好きなものを勝手に注文するものだからテーブルの上はあっと言う間にいっぱいになってしまう(私の食べたいものはほんの少しだけなのだが)。でもたまにはこういう時間もいいのかも。いつもは単なる同居人だと思っている息子たちが、ちょっとだけ子供に見えてくる瞬間だ。
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December 08, 2006
肌寒い小雨の降る一日。こんな日は絶対にヒマだろうなと思っていたのだが、1時過ぎてからたくさんの方に来ていただいて、おかずもみんななくなってしまった。再び柚子の話題。今日は柚子の絞り汁を使ってドレッシングを作った。絞り汁は美味しいけれど、すぐ分離してしまうし、調べたことはないけれど、それほど日持ちはしなさそうだ。それにせっかくならいい香りがしているうちに使いたい。それで今日のドレッシングには酢をいっさい使わないで柚子の酸味を生かしたドレッシングを作った。なたね油とオリーブオイルを少々混ぜたものでほんのりとした優しい黄色。野菜はカブを生のまま大きめにカットしたもの、煮たレンズ豆、京菜と玉ネギ。白と黄色と緑という色のバランスもとってもキレイ。野菜にかけたら柚子のいい香りにうっとり。最近、柚子の魅力にすっかりハマってしまった。
柚子と言えば、柚子の料理だけをテーマにした本がある。タイトルも「柚子」。料理研究家の中村成子さんが50種類以上もの柚子のお料理とお菓子を紹介している美しい本だ。50種類の料理を作るのはそれほど大変なことではないが、同じ食材で50種類の料理を作るのはかなり大変そう。まして素材が人参や大根ではなくて柚子という柑橘類に限定しているのだからなおさらだ。
だけど一つの素材にじっくり向き合っていくと意外な発見ができて面白いだろうな。私もいつか料理の本を作りたいと思っているが、その日がくるまで野菜たちと丁寧に向き合って、素材の声に耳を傾けていきたい。
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December 07, 2006
ミレーの事務所にちょっと顔を出してから聖護院大根の取材に行った。京野菜の一つで、千枚漬けの素材としても有名な大根だが、最近はほとんどお店でも売っていなくて、知らない人も増えてきたようだ。せっかく作っても最近ではあまり売れなくなってきたと話していた。三浦大根やこの聖護院大根など昔ながらの野菜が減ってしまうのは残念だ。もっと店でせっせと料理して皆さんにその美味しさをご紹介していかなくては。
私はずっと聖護院大根はカブの仲間だと思っていたのだが、よく調べてみると、聖護院カブというのもあるらしいので、聖護院大根はれっきとした大根の一種だということがわかった。でも実際には聖護院の大根とカブは見た目の区別がつきにくいらしいので、かなりごっちゃになっているのかも。
この大根はとても柔らかいので煮えるのが早い。そして煮崩れしにくい。丸々と太っていてとても美味しそうだったので、農家さんが畑で抜いているのを見ていたら、その場で土を落としてかじりたくなってしまった(さすがに実の方はガマンして葉っぱだけにしたが)。たくさんいただいてきたので明日は豆乳でこの聖護院大根のシチューを作ろうかな。トロトロしていてきっと美味しいだろうなあ。
夕方は明日から始まる西木俊土作陶展の搬入があったので、展示ができるようにスペースを用意した。毎年今頃の時期に開催させていただいて4回目となる。いつ見ても風楽の土壁にピッタリの作風で、まるで風楽のイメージに合わせて作ったかのような?作品ばかり。そして蔓や流木などの自然素材ととてもよく似合う器たちだ。店でもサラダボールやビアマグなどいろいろ使わせていただいている。
今日はお休みの日だったけれど、図書館に小一時間ほど行っただけであとはずっと仕事になってしまった。最近、本読む時間がずいぶんと減ってしまった。人生から読書する時間をなくしたら随分と寂しいものになってしまうだろう。もっと本を読む時間を作らなくては。
秋の手作り酵素が完成したので樽の中からタッパーに移しかえた。うちの冷蔵庫の野菜室は酵素で満員だ。今年は初めて甜菜糖で仕込んだのでまろやかな甘さになった。全部で10ℓちょっと。春まで毎日少しずつ飲んでお腹の中にいい微生物を増やしていこう。私の健康を支えてくれるたくさんの微生物クンたち。どうぞよろしくね!と言ってタッパーのフタを閉めた。
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December 06, 2006
引き続き、厨房では柚子の香りにあふれている。今日は柚子の寒天を作った。いつもとちょっと違うのは自家製の手絞りの柚子果汁100%で作ったということ。寒天だけではゼライスも併用して、プルプルした触感がより出せるようにした。全体量の中に丸々一個分の柚子の皮もすりおろして加えた。
写真用には昨日、使った柚子釜を再利用して中に入れて写した。柚子の皮の器の中に柚子の寒天が入っているのだから互いを引き立てあって当然のことながらよく似合う。それになんてキレイな器なんだろう。自然の中に存在する素材にはかなわない。
この寒天、一口食べた瞬間、あまりに香り豊かで美味しくって感動してしまった。同時にちょっと果汁が濃いいなあとも思った。だけどほんの数口のデザート。薄い味だったら、その美味しさを伝えきれないかもしれない。ほんの少しだからこそ、本当に濃縮した美味しさを味わっていただけたらと思って、そのままの味にした。
それにしても冷やして固めるデザートは、毎回、甘さと濃さの味をみながら作るのだが、寒天を煮溶かしている時は汁もかなりアツアツになっているので、冷えてからの味が予測しずらい。それで実際に冷やしてできあがってから食べたらかなり酸っぱかった~!・・・なんてこともよくある。そういう時は別にソースを作って甘さを足すとかして、もう一工夫。
定番に作るデザートのように、果汁が決まっているものなら、経験から何とか予測できるのだが、自分で絞った柚子果汁だけで寒天を作ったのは私も初めてのこと。食べてみるまでかなり心配だった。特に柚子は苦味を伴う場合もあるので要注意だ。だけど美味しく可愛くできてよかった。
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December 05, 2006
料理教室の時、いつもなら私がテーマを決めて、いくつかのメニューをたてレシピを作っている。当日は説明しながら、皆さんの前でお料理をお作りし、その後で夕食となる。でも今回の料理教室は友達の板前さんにお願いしたので、私はラクだわ~なんてちょっと安心していた。
4時に店を閉めてからすぐに教室を始めるので、いつもならバタバタと準備に追われている。でも今回は材料を一通り揃えたら、進行は板前さんなので私はもっぱら助手にまわることにした。だけど一緒に調理の仕事をしたことがないので、相手がどのような動き方(作り方)をしていくかというのは全くわからない。それで最初のうち、自分がやっている時と同じくらい緊張して?しまって、あちこちにいろんなものをよく落とした。でも後半はペースがつかめたので、一人の参加者のような感覚でその場にいて、プロならではの手の技を目の前で楽しませていただいた。
何と言ってもスゴイのはやっぱり包丁さばき。私は不器用で野菜を切るのもうまくないので、かつら剥きにしてから、なます用に切った糸のように細い大根や人参の切り口に驚くばかり。何枚か切っている手元の写真を撮ったのだが、どれも動かし方が早くて包丁が写っていなかった。
今回はお正月が近いので、ご家庭でも作れるようなメニューを板前さんに考えていただき、なます、人参の梅煮、こんにゃくの土佐煮、里芋の田楽、ちらし寿し、沢煮椀をご用意した。沢煮椀は材料を全て細いせん切りにした具だくさんのお汁だが、お肉のかわりに油揚げを使って玄米餅を入れたお雑煮風。作る人が違えば、同じ調味料を使っても味付けの仕方は変わってくる。ハッキリ言って私の味付けとはかなり違っていた。でもとてもキレイに仕上がって美味しくいただくことができた。
この板前さんはみつば鯛三さんと言って、私よりも若いが調理に携っている経験は私よりも長く、和食から懐石まで様々な仕事をしてきた人だ。最近、オーガニックのお料理に関心を持ち始め、よく店のご飯を食べにきてくれる。料理の基本を熟知し、経験と技をきちんと持った人が、無農薬野菜と本醸造の調味料を使って料理すれば絶対に美味しいものができるだろう。だけど同じ条件が揃ったとしても、そこに作り手の思いや気持ちを添えることができなければ、料理というのは正直なものだから何となく気の抜けたものになってしまうのだ。。
今回、参加される皆さんに喜んでいただきたいと、板前さん自身がすごく忙しい本業の合間をぬって、一生懸命準備をしてくださった。その心意気ができあがったものにもきちんと反映されていた。そういう見えない伝播のようなものは自分自身のことでない方がかえってよくわかるような気がする。料理はやはり心だ。目の前にいる人の食に対する姿勢を見ながら改めてそう思った
*火曜日から木曜日までの3日間、ココログのサーバーのメンテナンスのため、ブログの更新が一切できない状態でした。7日にまとめて3日分をアップしました。何度もアクセスしてくださった方、ゴメンなさい。
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December 04, 2006
いい香りに包まれた幸せな手仕事の時間だった。一日中、先日、いただいた柚子でストック品を作っていたのだ。無農薬の柚子なのでもちろん皮ごと全部使える。まずは柚子の皮でピール作り。皮をむいて水にさらし、それから2回ほど茹でこぼし。その後、素製糖を加えて柚子の皮をコトコトと煮ていく。夏みかんほど薄皮に渋みがないので一晩、さらさなくてもよさそうだ。冷凍しておくと、これから作るお菓子の貴重な素材になる。
中味の方は汁を取るため全部、手絞りした。それをビンに詰めて保存する。絞りたての汁を使って明日のお惣菜用の菊花カブを漬け込んだ。なんと100%手絞りの柚子果汁!贅沢な菊花カブだ。さらにもう一つのストックは柚子の薄皮をつけないくらい薄くむいた外皮を細いせん切りにしていく仕事。こちらはこのまま冷凍しておくと、和え物やお汁にちょこっとずつ使うのに大活躍。
絞り終わった種と薄皮はサッチーが持って帰って焼酎漬にするらしい。私は柚子ローションはちょっと強すぎて皮膚に合わないのだが、サッチーは全身につけても大丈夫だからと、大量のしぼりカス(カスなんて呼んではいけないかも!)を袋いっぱい持って帰ってくれた。
厨房の中は一日中、柚子の香りにあふれていい匂い。柚子は冬の香りの王様だ。ピールが完成したところで柚子のケーキでも焼こうと思っていたのだが、時間がなくてできなかった。ブラウニーの中に柚子を入れたらとっても美味しいのだ。チョコレートと柑橘はとにかくよく似合う。
夕方は野菜とお米を取りに農家さんを回る。両方回って買いものをして帰ったらもう8時すぎ。車の中に積んである100キロ近いお米と野菜たちは明日の朝、降ろさなくっちゃ。朝から重労働だ。
明日は板前さんをお迎えしての料理教室。お正月に役立つ野菜料理を教えていただく予定。プロの包丁使いを間近で見られるので私も楽しみだ(それに今回は私の担当ではないので、レシピ作りに追われることなくちょっとほっと?している・・・)。まだ空きがありますのでご希望の方、午前中にでもお電話ください。4時から7時です。参加費は3900円(お夕食とお土産付)。
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December 03, 2006
風楽で大活躍の業務用オーブンコンベックの庫内がブログに初登場!ほとんど毎日のように使っているのに、その中の写真をアップしたのは多分初めて。コンベックの中からあんまり甘くていい匂いがしてくるので、つい誘惑に負けて扉を開けてしまった。今日のデザートに作ったのは栗入りの焼きババロア。寒天やくず粉を豆乳に入れて焼くことによって煮溶かし、その後、冷蔵庫で冷やして固めるという不思議な作り方をする。秋に採れた栗を蒸して皮をむいて冷凍しておいたものをほぐして使った。レシピは懐石料理「仙」のカノウユミコさんもの。カノウさんはこれを「ベイクト寒天ケーキ」と呼んでいる。寒天やくず粉をこのように使う発想は今までなかったのでちょっと驚いた。砂糖や卵、乳製品を使っていないのにクリーミーなババロアになった。ノンシュガーのスイーツにはまだまだ可能性がありそうだ。これからもいろいろ勉強しなくては。
今日、おせち料理のご依頼をいただいたのでお受けすることにした。今までも数件、お問い合わせはあったのだが、私一人で日常の業務をしながら大量に作ることはできないので(まして元旦からも店は休みなしなので!)積極的にお知らせはしてこなかった。でもサッチーも一緒にやってくれると言うので、今年はお受けさせていただくことにした。いずれにしても家内工業?なので大量にはお受けできませんが・・・。
着色料、保存料など使わずに手作りしたものなので日持ちもしないし、豪華な装飾もない地味なお節ですが、心をこめてお作りさせていただきます。内容はお煮しめ、なます、昆布巻き、田作り、黒豆、酢蓮のセットで税込5250円、これに栗きんとんと伊達巻を入れたものが8400円です。あらかじめお持ちいただければご家庭の重箱にお詰めさせていただきますが、その場合、内容量によってお値段が多少、変わってくるかもしれません。31日の午後(または元旦の朝)に取りにいらしてください。ご希望の方は15日くらいまでにお申込ください。
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December 02, 2006
朝、起きたらどうしたわけだか体に力が入らない。それでも今日はあいりん堂さんからおにぎりを25人前頼まれているので、早めに玄米を炊かなくては間に合わない。フラつく体で厨房に行く。店の入り口には昨日の7時近くに納品があった食材諸々がダンボールに18箱!デーンと並んでいる。今年最後の発注なので、いろいろ食材を注文したら、その量の多いこと多いこと。おまけに配送会社が遅れたので届いたのは夜になってから。今からじゃとてもこんな荷物、片付けられないと思って、そのままにしておいたのだ。だけどこのままじゃお客様も入って来られない。とりあえず圧力鍋を火にかけ渋々荷物を片付け始めた。それからおにぎりを握って青ジソの塩漬けと海苔を巻く。お新香とサツマイモとアワの煮物を横に添えて経木に包む。それが終わってからいつもの定食のお惣菜を作り始める。
あいりん堂さんに配達して帰ってきた時はまだ誰もお客様がいなかった。レイコちゃんに「こういう日は忙しく動いてないと体が余計にダラダラしちゃうから、今日は思い切り忙しくなるといいんだけどな」と言っていたら、本当にその後、次々にお客様が来てくださって、とても忙しくなってしまった。これでは体に力が入らない・・・なんて呑気なこと言っていられない。貧乏性なのか、忙しければ忙しいほどキビキビとよく動いてしまう私の体・・・いいんだか悪いんだか?。久しぶりにお皿洗いでエプロンがビッショリになってしまった。
夕方、いらしたお客様からリンゴをいただく。長野の共同作業所で無農薬に近い状態で育てているものだそうだ。その後にいらしたお客様からは袋いっぱいの柚子を。お宅の庭に生えている無農薬の柚子だそうだ。どちらもすぐに使えるので本当にありがたいいただきものだ。こういう不揃いでゴツゴツしているものって、野生のままにのびのびと育ったという感じがして好きだなあ。きっと思いっきり酸っぱくて汁気も多いんだろうな。何にしようかな。柚子の種を焼酎に漬け込んでおくと、すごくいいアカギレの塗り薬になる。皮を薄くむいて冷凍しておこうか。丸ごと冷凍して必要な分だけすりおろして使うのもいいな。無農薬のものは皮ごと丸々ぜーんぶ使えるから安心だ。たくさんの柚子とリンゴたちを見ていたら何だか急に元気になってきた。何を作ろうかって考えているうちに体に力が沸いてくるなんて、もしかして私って本当に貧乏症なのかも。ともあれ今夜は冬至にはまだ早いけど柚子湯に入って早く寝ようっと。
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December 01, 2006
料理の本やお菓子の本をパラパラとめくって見るのが好きだ。昨夜、久しぶりに時間があったので、お風呂から上がった後、自分の部屋のソファでスイーツの本を眺めていた。それで今朝、起きてみたら、すごくマクロ仕様のスイーツを作りたくて仕方のない気分になっていた。早めに厨房に行って一人で粉を計量し始める。いくつか作ってみたいレシピを見つけたので、朝のうちに作ってみることにした。
店で通常お出ししているケーキは国産小麦で作るのを基本にしているが、卵も素製糖もマーガリンも使っている。たまに時間がある時に砂糖や乳製品抜きのケーキを焼くこともあるが、最近はマクロビオティック志向の方が増えてきたせいか、スイーツにも砂糖や卵、乳製品を使わないものを希望される方が増えてきた。単にスイーツとして食べるのであれば、普通に砂糖や卵やバターを使って作るものの方が美味しいし、繊細な味を出すことができる。かと言ってパテシエが作るような本格的なお菓子を私は作ることができないし、そういうものであれば町の有名なケーキ屋さんに行けばいくらでも買えるだろう。うちの店のスイーツの特徴は国産小麦の風味を生かすこと、砂糖はかなり控え目、全粒粉や豆乳、おから、さつま芋やカボチャ、人参など素材を積極的に取り入れた素朴なケーキということだろうか。

そこをさらにすすめてシンプルにしたものがマクロ仕様のお菓子となるわけだが、マクロのお菓子は配合によってとても固かったり、ねっとりしていたりと、首をかしげてしまうようなものも?中にはあるので、私としては作ってみて、これなら一般の方にもおすすめできるという味のものだけを取り入れるようにしている。
いずれにしても実際に作って食べてみなければわからない。改善点があれば改善し、オリジナルの美味しいスイーツをお出ししたいと思っているので、とにかく今はあれこれ作るように心がけている。
それで今日、作ったマクロ仕様のお菓子たちはきな粉のケーキと、プルーンとココアのケーキ、そしてコーンミールとココナッツパウダーで作ったさつま芋のタルト。いずれも砂糖、卵、乳製品を使っていない。今日の3品はいずれも砂糖抜きでも美味しくいただけるスイーツだったので、これなら定番にできそうだ。
お客様からいただいた月桂樹の枝を、その場でリースにして壁面に飾った。できたばかりのリースの真ん中に炊きたてのタルトを飾って写真を撮った。今日から12月。少しはクリスマスらしいディスプレィにしなくては。
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