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July 08, 2008

赤梅酢

P10203246月に入ってから漬けた梅干の中に、赤ジソを入れた。沖縄に行ったり、忙しかったりで気にはなっていたものの中々赤ジソを入れることができなかった。そろそろ赤ジソも店頭から撤退し始め、もしかしたら今年は赤ジソなしの梅干になるかもしれないと思っていた。この前、おかげさま農場の直売所に行った時、偶然にも見つけた高柳さんの赤ジソ。常温で置いてあったので、早くも色が茶色に変色しているものもあったが、何とか5束ほど買うことができた。茎から葉っぱを取って塩で揉み、ギューッと搾ってアクを出すことを繰り返し、そこへ白梅酢を少々振りかけてよく混ぜると、赤ジソの色がより鮮やかになっていく。最後にもう一度、ギュッと搾って梅が浸かっている樽の中に赤ジソを混ぜた。鮮やかな色が加わって、白梅酢が赤梅酢に変化していく。
森のイスキア」の佐藤初女さんは素材に手を加えて食べるものに変わっていく変化のことを「命のうつしかえ」と呼んでいるそうだ。例えば青菜を茹でる時にも火が通ってくると、緑がパッと輝いて透き通る。その瞬間に青菜は私たちの命の糧となる。まるで何かの合図のようだ。「ちょうどいい食べ頃になりました。どうぞお召し上がりください」・・・言葉を持たない自然界の植物たちからのメッセージなのかもしれない。
「素材の声を聞きながら料理しています」と言う人がいる。私もそう心がけている。毎日毎日、食べものを作る仕事をしていると、もの言わぬ彼らの声が感じられるようになってくる。彼らの命をいただきながら、私たちは明日へと命をつなげていくのである。
梅干は疲れた体を整えてくれる古来から伝わる保存食だ。生のままでは食べることのできない実を、塩に漬け込み干すことによって、滋養あるものに変化していく。それがとても体によいということを、昔の人はどうして知っていたのだろうか。とても不思議だ。
土用干しまでまだ少し時間があるけれど、冬に仕込んだ味噌樽を重石にして今しばらくそおっと時がたつのを待っていてもらおう。自分達の食べるものを季節に合わせて少しずつ加工し保存していくこと。まさに手塩にかけるということだ。たとえ同じレシピで作っても出来上がったものは世界でただ一つだけ。それが命の営みにつながっていくのだから、何て素敵な手仕事なんだろう。

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