October 31, 2008
久しぶりに作ったヒヨコ豆のコロッケ。中東の方ではフムスと呼ばれ、ヒヨコ豆のペーストに様々な香辛料を加えて、ピタパンにはさんで食べていて、ヴェジタリアンにとっては定番のメニュー。フムスの素になる粉も売っている。ただお湯を加えて溶かすだけで丸めればフマスになるのだが、一度、使ってみたけれど味付けが強烈で和食の時はちょっと浮いてしまいそう。
そこで私は手間はかかるがヒヨコ豆を茹でて、マッシュして使うようにしている。みじん切りしたパセリやセロリ、玉ねぎ、人参、にんにくなどをオリーブオイルで炒めて、その中に加えコロッケにすることが多い。スパイスはオレガノとタイムをほんの少々。それだけでも美味しいのだが、トマトの水煮缶に野菜を加えてグツグツ煮込み、揚げたてのヒヨコ豆のコロッケにかけると、もっと美味しくなるので、トマトソースも作った。昨日と今日の定食のメインになった。普通のコロッケを作るよりもかなり手間はかかるけれど、かけただけのことはある美味しいコロッケが出来上がり。
夕方は澤 萃花さんの易占の講座。たっぷり2時間。11月の月運も占う。かなり厳しい卦が並び、ちょっとユーツな気分。探している引越先もしばらく出てこなさそうだ。でも人生に変わらないものなどない。いいことも悪いこともじゅんぐりじゅんぐり。朝がくれば夜が来て、春もあれば冬もある。全ては巡っていくものなので、悪い卦だからと言って悲観することは決してないのだ。今が悪ければ次はよくなるし、たとえ今が最高によい時だとしても、そればかりが長く続くことはない。澤 萃花さんにはよく言われる。「何もかも自分の力でやろうとしないで、自然な流れがくるのを待つことも大事」だと。それはわかっているのだが、アンテナを立てて、常に探しているからこそ、出会いたい人に出会え、探していた言葉が見つかり、行くべき場所に行けるのではないか・・・と思ったりもする。
まだまだ易の世界が頭にも体にも入ってこないのだが、淡々と細く長く続けていくことで見えてくるものがあるのだろう。道は長いなあ。一生勉強だ。
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October 30, 2008
モントリオール世界映画祭でグランプリ受賞した話題の映画「おくりびと」を観た。
「年齢問わず・高給保証・実質労働時間わずか・旅のお手伝い。NKエージェント」―そんな新聞の求人広告を見て面接に行った大悟(本木雅弘)。ようやくオーケストラのチェリストになれたのも束の間、運営が厳しく団は解散することに。途方にくれた大悟は妻と一緒に故郷の山形へ帰り、母の残した家にへ移り住んだ。さっそく広告片手に面接に行ったところ、その仕事はなんと納棺師だった・・・。
嘆き悲しむ遺族の前で、冷静に厳かに遺体を清め、衣装を着せて化粧をほどこし、納棺するまでの一連の行為を、本木雅弘がみごとに演じている。全ての動きに流れがあり美しいのだ。大悟は戸惑い苦しみながらも、死者を見送る納棺師という仕事にいつしか誇りを持って臨むようになっていくのだが、その間、夫の仕事を受け入れられず妻は実家に帰ってしまう。再会した幼馴染みも大悟に仕事を辞めるように耳打ちする。それほどまでに忌み嫌われる仕事なのだろうか。大悟は悩む。本木雅弘の表情はそんな揺れ動く大悟の思いを巧みに表現している。
その後、幼馴染みのお母さんが急死。大悟は彼の前でお母さんの遺体を清め、美しい旅立ちの準備を施す。未亡人だったお母さんと秘かに交流を続けていた男性が、遺体と別れる時に「また会おうのう・・・」と静かにつぶやく。
どの場面も涙なくしては観ることができないけれど、死者を前に途方に暮れている遺族に代わって、一番その人らしいお顔と最期の装束を厳かに施していくことで、悲しみに打ちひしがれていた遺族たちの表情にも変化が表れ、徐々にお別れの時へと気持ちを向けていく。
ともすれば悲しいテーマになりがちなのだが、静かに心を打ち、決して重いだけの映画には仕上がっていないのが、この作品のすごいところだと思う。観ながら母を見送った時のことを思い出した。連絡があった時にはすでにこと切れていて、私が実家に着いた時、すでに母は棺おけの中に横たわっていた。悲しみを感じるユトリもなかった。どこか他人事のような気がずっとしていた。
私が初めて泣いたのは火葬場で母が焼かれる煙を見た時だ。死者との別れは悲しく辛いものではあるのだけれど、遺されたものは、その死を通して、これからどう生きていけばいいのかをいやでも考えさせられる。あの時、母は私に生きるとはどういうことかと身を持って教えてくれたのだと今でも思っている。そしてその命は私の中に確実に継がれていった。死は生と表裏一体のもので、どう死ぬかということはどう生きるかということと同じだ。
納棺師は大変な仕事だが、死者と遺された者とをつなげ、この世とあの世をつなげてくれる尊い仕事だ。そういう職業があったことさえ、この映画を観るまで知らなかったが、すごく心に染み入る作品だった。全編を通して流れるチェロの美しいメロディが今も心に残っている。
(C)2008映画「おくりびと」製作委員会
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October 29, 2008
昨日はお休みをとって、都内で開催された稲垣節子さんの「人間力向上セミナー」へ参加してきた。「愛の絶対法則」(ぜんにち出版)の著者でもあり、様々な企業での研修プログラムの講師として活躍されている方だ。業界初の成功報酬を提案し、常に満額を獲得されているという実績もある。受講生全員が自分と向き合い、本来持っている自分自身の魅力や能力に気付き、それを生かせるような具体的な方法論について、いくつかのテーマに分けて講演を行っている。昨日のテーマは「感情と思考のコントロール」。人間がこの世に生まれてきたことの目的は魂を成長させていくことだ。そして人とのかかわり合いなくしては、人は成長していくことができない。
起業家として自ら研鑽を積み、ノウハウや生き方を構築されてきた方なので、その言葉にはとても説得力があった。お話の内容はとても実践的かつ具体的であらゆるケースがとても参考になった。ただ机上の精神論やプラス思考だけを安易に提案するのではなく、今、日本の置かれている経済状況などと合わせてお話してくださった。とてもグローバルな視点を持っていらっしゃるので、個人の思いと経済社会という両方の側面から、人としてのあり方をお聞きすることができたので、とても素晴らしい内容だったなあと思う。ほんの小さな店であるが経営者として、そして人として成長していくことの意味を改めて考えさせられた。
夜は実家に寄ってから、すぐ近くに住んでいるベジタリアン料理の研究家ヘルシー土井さんのお宅に伺ってきた。ご自身のお部屋で気軽に集まって、週末にベジタリアン料理を作ってみんなで食べている。本当は平日はやっていないのだが、ちょうど渋谷に行く日と重なったので、「何でもいいから食べさせて~」とお願いしてしまった。
完全にヴィーガンのお食事で、野菜も無農薬無肥料のものを使っていた。黒豆入りの玄米と秋野菜を焼いてタレに漬け込んだもの、豆乳味噌のスープ、レモンパイなどをいただき、お部屋の中でくつろぎながら、私一人だけだったのだが、ご飯が終わった後もゆっくりお話してしまった。気が付いたら終電の一本前の時間となり、帰ってきたのは12時過ぎになってしまった。でも誰かが作ってくれるご飯って美味しくて嬉しいなあ。
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October 27, 2008
朝、定食の支度をしてから、月末なので、例によって銀行と郵便局、市役所などを回ってきた。銀行に着いてから、バックの中にうっかりレジのつり銭を入れたまま持ってきてしまったことに気がついた。もう開店時間になっていたので、何もせず慌てて店にトンボ帰り。その後、銀行に戻ったので随分、時間をロスしてしまった。でも今日は3人体制だったので、気持ちにもちょっとユトリがあった。しかしながら懐の方は毎度のことながら、月末の支払額にあたふたし、ユトリなどまるでない。
特に先月は広告を久しぶりに2本、お願いしたので、いつもの経費以外にも支払が多い。新しい調理器具も買ってしまったので支出が多い。それに今月は食材のストックをかなり大量に発注したので、来月の支払はいつもの倍以上になる予定。あ~あ。支払のことでは何年やってもほっとする時がないなあ・・・。
季節柄、秋は外に出たくなるような気持ちのいいお天気が多いので、お客様も多くなる。行楽やスポーツに最適な秋は歩いて来店される方も多い。これから木々が色づき、目を楽しませてくれるようになる。秋が大好きなので、歩いてお帰りになる方の姿をお見送りしながら、思わず一緒に歩いてどこかに行きたくなってしまう。
夕方、手があいてから、明日のデザート用のケーキと、カウンターで販売用のマクロのリンゴケーキを焼いた。マクロのケーキはずっしりと重たい。一本につき一個のリンゴが中に入っているので、かなりのボリュームだ。それにオートミールや全粒粉も入っているので、食べ応え充分かも。最近、とにかく穀類や果物が美味しいので、食欲が止まらなくて大変だ。私も少し歩かなくては。
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October 26, 2008
夕方、友達が鹿児島で拾ったぎんなんをどっさりと店に持ってきてくれた。ちょっと前に懐石弁当を作った時、ぎんなんがあったらいいなあと私が話したのを覚えていてくれたらしい。ちょうど行った先に銀杏の木があったので、思わずたくさん拾ってしまったそうだ。さっそくフライパンで炒って、仕事が終わった時だったので、アリミちゃんとヨウコさんも一緒にぎんなんをつまみながらお茶にした。鹿児島から買ってきてくれた黒砂糖の薄皮饅頭をお茶菓子にして、お抹茶も入れた。
ヨウコさんは意外なことに自分でぎんなんを炒ったことがないそうで、目の前で炒りたてのぎんなんを割って食べながらとても感激していた。みんなでぎんなんを頬張っていたら、別の友達が買い物がてらに店に立ち寄ってくれた。さっそくぎんなん茶飲みの輪に引っ張り込んだら、「昔よく拾って食べたの。懐かしいな~」と喜んでいた。その友達はヨウコさんよりもずっと若いのだが、庭に銀杏の木があったので、よく食べたそうだ。私は子供たちとぎんなん拾いをしたことはあるけれど、それほどぎんなんが好きではないので、わざわざ炒ってまで食べたいとは思わなかった。だからぎんなんの実を拾って食べたことがあるかどうかというのは、年代よりも近くに銀杏の木があったかどうかによるものなのかもしれない。
でも友達が香ばしく炒ってくれたぎんなんは思ったよりも美味しかった。ただぎんなんにはアルカロイドという毒にもなる成分が含まれているので、食べ過ぎると嘔吐や消化不良などを起こす場合もあるそうだ。喘息や夜尿症の漢方薬にもなるほど効用のある実なのだが、やはり毒にも薬にもなる・・・ということだろうか。
ぎんなんは置いておくとどんどん実が乾いて縮んでしまうので、みんなにお裾分けした後、残った分を全部炒って、薄皮をむいて冷凍することにした。その後はひたすらぎんなん炒りと殻割り、薄皮むきの作業を続けた。終わったものをタッパーの中に入れたら、とってもキレイな翡翠色の宝石が並んでいるみたいだった。殻をむいたら案外少なくなってしまったが、一度にこんなたくさんのぎんなんを炒ってストックしたのは初めてのこと。自分で手をかけたら、前よりもちょっぴりぎんなんが好きになった。
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October 25, 2008
今年初めて里芋を食べた。初物を食べた時は東の空に向かってワハハと笑うといいんだっけかな。走りの頃はまだ価格も高いので、小さめの粒をいただくことにした。大きい方が高い値段がつくようだが、実際に料理する時は小さめの里芋は大活躍。何しろ皮をむくだけでそのまま丸ごと使えるからだ。
里芋の中のぬめりの一種ムチンは胃腸に優しく、ガラクタンは血圧やコレステロールを下げる働きがあると言われている。これほど泥まみれの野菜も少ないと思うが、まさに畑から直行!という感じで見ていると妙に懐かしさを感じる野菜でもある。
今日は里芋の揚げ煮を作った。ただ里芋を煮るだけではなく、一手間かけることによって、より美味しい煮物になる。まず里芋の皮をむいて蒸し器で丸ごと蒸す。それに片栗粉をまぶして、サッと油で揚げ、あらかじめ味をつけて煮立てておいた出汁醤油の中に揚げたてを漬け込んでいくというもの。今日は人参と舞茸があったので、一緒にあわせた。柔らかくて美味しいおかげさま農場の里芋。これから春まで長いお付き合いが始る。どうしても煮物が多くなってしまうけれど、サラダにしたりシシューに入れたり、いろいろな方法でたっぷりいただこう。
今日は月末の土曜日だったので、予想通り店は大忙し。久しぶりに3人体制だったので、カレーのストックを作ったり、マフィンやクッキーを焼いたりと、仕事をしながらあれこれと他の仕込みもできてよかった。やはり3人体制はラクだなあ。
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October 24, 2008
秋になると毎年、今年はまだですか~?とお問い合わせいただくむらさき芋のタルト。今年の第一号を、今日初めて焼いた。焼く前にむらさき芋の中に加えるアップルプリザーブをあらかじめ作っておかなければならない。これは酸味のある紅玉に限る。そして何よりむらさき芋が出回ってからでないと作れない。
作るたびに思い出すのはミレーに納品していた頃のことだ。初めて店のケーキを外販することになって、試作に試作を続け、納得できるオリジナルレシピが出来上がった。その次はどうやって納品するかだ。店のお客様と違って、全国に発送されるわけだから、冷凍するにしても壊れないように工夫しなければならない。包材には余計なコストをかけなくないので、できるだけシンプルで実用的なものにしたいと思った。考えた末、アルミ皿で直接タルトを焼き、ジップロックで包むという方法。それを小さなダンボール箱に入れて発送してもらった。
レシピと包材が決まった後は、ひたすら注文に合わせてタルトを作り続けた。全て手作業なので、一度に30個もの注文があるとそれこそ厨房は大忙し。大きなタライのようなボールに焼きたむらさき芋を入れてマッシュしながらその他の材料を加えていく。一つのタルトにかなりのお芋が入るので、混ぜるのがとても重い。おかげで左肩が上がらなくなってしまったが・・・。手作りのものをいつ入るかわからない注文に合わせて、大量に仕込むことの大変さを痛感した。たくさん注文いただいたことは嬉しいけれど、やはり私の店ではそういう作り方や売り方は向いていないと思った。
4年続けたミレーのライターの仕事も9月で辞めた。いろいろな農家さんや生産者さんを取材して回り、とても勉強になった。そして自分の中ではやるだけやって一区切りついたという気がする。だからもうミレーに「風子のスィーツ」を卸すこともないだろう。
今まで急に入る取材の依頼をどうにか時間を作って対応し、店が終わってからも長い時間をかけて原稿を書いていた。資料が必要な時は図書館で調べた。通常のお店の食事作りをしながら、大量のタルトを仕込んだ。それに当時は毎月、コンサートをやっていたし、ギャラリーの展示の入れ替えもマメにしていた。今思うとよくあんなに大変なことをやっていたなあと我ながら感心してしまう。
今はやるべきことをキチンと整理しながら、時間に追われることなくユトリを持ってお料理をお作りしたいと思う。
大量にはお作りできませんが、ご予約いただければむらさき芋タルトをホールでもご用意できます。一台2200円+税。よかったらぜひどうぞ。
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October 23, 2008
今日はお休み。朝から出かける用事があったが、その前にお店でデザート用のケーキを焼いた。そして窓を全開にし、洗濯物を干してから出かけた。急いでいたので朝刊を読む時間はなく、例のごとく天気予報も見ずに出発。日中はずっと室内にいたので気が付かなかったのだが、なんと帰る頃、雨がザーザー降っているのに気が付いた。激しい雨の中、前も見えにくいのでタラタラ運転となり家に戻ったのは5時を回っていた。この雨だから覚悟はしていたが、また家の中に大きな水溜りができていた。外に干したままずっしりと重たくなった洗濯物を再び洗濯機の中にほおり込み、大急ぎでバスタオルによる吸水作業を開始した。帰宅早々、何度もタオルを絞ったのでくたびれてしまった。あ~あ。またやっちゃった。
何度も家や洗濯物をビショビショにする自分に呆れながらも?気を取り直し、お休みの日なのだから、今夜はちゃんと夕食を作ろうと思った。ちょうどもち米を買ってあったので今日は蒸しおこわに決定。
昨日、道の駅で美味しそうな舞茸や椎茸、マッシュルームなどを買ってきたので、人参と一緒に出汁醤油で煮た。そこへもち米を加えて味をつけてから、蒸し器で蒸した。お店にはヒデコちゃんが福岡のお土産に買ってきてくれた美味しそうな明太子が置いてあった。椎茸を網焼きにして、とろろを作って・・・なんだか今日の夕飯は食が進むものばかり。それでなくともおこわにするとたくさん入っちゃうので後がこわいのだが。
今日は二十四節気の霜降。食卓はまだまだ秋の賑わいだが、そろそろ初霜が降りて冬支度。
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October 22, 2008
沖縄の代表的なおやつにさーたーあんだぎーがある。ここ数年、沖縄へ何度か行くようになり、やっとそのお菓子の名前をすらすらと言えるようになったけれど、以前は聞き慣れない言葉で覚えられなかったのも事実。沖縄の方言で「さーたー」は砂糖、「あんだぎー」は揚げ物という意味。つまり簡単に言えば沖縄風のドーナッツ。
暑い沖縄の風土に合わせて、日持ちするように、卵と油少々だけで小麦粉を溶き水を加えずに作る。固めの生地なので揚げる時も低温で10分くらいかけてゆっくり揚げる。常温でも保存できるので、沖縄の市場に行くと、どこにでもてんこ盛りになってさーたーあんだぎーが売っている。移動が多い旅の途中、バックにしのばせておけば、お腹が空いた時にサッと食べられるので、沖縄に行くと必ず買って食べている。沖縄ではおばあによって作り方は様々で「ここが美味しい」と評判の店が何軒かあるようだ。私はそういう有名なお店のものは食べたことがないが、確かにとても固いものと、ふわっとしているものがあったり、砂糖の加減によって微妙に味が変わってくるようだ。
この前、久米島に行った時、地元のスーパーでさーたーあんだぎーの素を見つけたので買ってきた。材料と言えば、小麦粉や卵のほかには黒糖と油とベーキングパウダーくらいなので、美味しい配合さえわかれば、私にもそれなにり作れるかと思う。でもなんと言ってもホットケーキミックスのように卵を溶いて混ぜるだけという簡単さ。自家用だったら、これでもいいかなと思って買ってきたのだ。
今日、友達の家に行ってさーたーあんだぎーを一緒に作った。ちょうどカボチャがあったので、プレーンとカボチャを刻んだものを2種類作った。油の温度を低くしてかなりじんわりと揚げるので、ほんの数個でお腹いっぱいになってしまった。う~んコレだったら沖縄で食べたものよりも美味しいかも・・・?!なんて自我自賛しながらすっかりお腹はパンパンに。だけど食べているうちにまた沖縄に行きたくなってしまった。まだまだ泳げるかなあ?と思いながら心は青い海へ・・・困ったなあ。
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October 21, 2008
この前友達とご飯を一緒に食べた時、揚げ物をした後の残り油をどうしようかということになり、急きょ大学芋を作ることになった。ほんの少しだけ油の入っている鍋の中に砂糖と乱切りにして水気を切ったサツマイモを入れて、鍋のフタをして加熱する。時々、ヘラでサツマイモをひっくり返しているだけで、アラ不思議。数分後にはトロリとした大学芋ができあがるのだ。別鍋でミツを作る手間もサツマイモを一つ一つ揚げていく手間もいらない超簡単な作り方だ。
実はすっかり忘れていたのだが、これは昔、仲間うちでとても流行っていた大学芋の作り方だ。子育て真っ最中の時、自主保育の仲間たちとそれぞれの家を持ちまわりにして、よく一緒にご飯を食べた。大学芋は子供たちの大好物。メンバーの一人がこんな方法があって、簡単にできるのよ~と教えてくれたのがきっかけだった。当時のご飯作りは、とにかくパッとできて、美味しくて、子供たちが喜んで食べて、すぐお腹いっぱいなるもの・・・が条件だった。本格的な作り方にはかなわないけれど、この方法はママ友たちに確実に支持された簡単料理の一つだった。以来、どこの家に行っても秋から冬にかけては大学芋がおやつの定番になってしまったのだが・・・。
その息子たち、ちいさい頃はあんなにガツガツ食べたクセに、成人した途端、胸やけがするとか何とか言って、サツマイモを敬遠するようになってきた。そんなことから大学芋を作ることもなくなってしまった。だから私の中ではこの方法を久しく忘れていたのだ。
子供のいないその友達がこんな作り方を知っているなんて、ちょっと意外な気がしたけれど、見ているととても懐かしくなってきた。そして大学芋ももちろん懐かしい味がした。以前と違うのはほんのちょっとしか作らなかったのに、とても食べきれなくなってしまったこと。あの頃は大鉢にどっさり作っても瞬く間になくなってしまったというに・・・。懐かしさのついでに?今度は落葉で焼き芋、作ってみようかな。
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October 20, 2008
このところ、酵母おこしにハマっている。と言っても一番簡単なレーズンを使って酵母を作る方法だ。オイルコーテイングしていないレーズンを煮沸消毒したビンの中に水と一緒に入れて、フタを閉めたまま5日くらい放置しておく。毎日、フタを開けてプシュ~という音がするかを確認しながら、レーズンがゆっくりと発酵していくのを待つ。
酵母がおきた後は、時間がある時にパン生地を仕込む。おきた酵母を少しずつ残して、継続して使う方法もあるけれど、私の場合、継いでいくよりも使い切りの方が合っている。とりあえずレーズンと水を一緒に生地の中に入れて混ぜてしまうのだ。つまり一回一回使い切りという贅沢な?方法だ。でもこれなら作りたい時に手軽にできるので気もラクだ。ただレーズン酵母のような天然酵母のパンは発酵が10時間以上ととても時間がかかるので、焼きあがる時間を決めて、仕込み時間を逆算しなければならない。
昨日は朝、生地を仕込んで車の中でじんわりと発酵さえて、焼き上がったのは夜になってから。生地には全粒粉を3分の1ほど入れているので、かなりドッシリとした重たいパンになった。でも重たいけれど風味があって味わい深いパンだ。やっぱり天然酵母の全粒粉のパンは美味しい。ただ今度はもう少し軽くしたいので、ちょっと全粒粉を減らしてその分、クルミなどのナッツ類を入れようと思う。
いつも白神こだま酵母で焼いているのだが、正直なところ、白神酵母はイースト並みに早く発酵し、早くできるのだが、かなり割高な酵母だ。使う酵母の値段で天然酵母のパンが一つ買えてしまうくらい。それに当然のことながら国産小麦を使っているので、もはや手作りパンは高級品?!になってしまった。
これから常時安定した酵母を育てられるようになったら、店のパンもレーズン酵母のパンに切り替えていこうと思っている。まだまだ研究途中だけど、ご飯を炊くのと同じくらい手軽に天然酵母のパン焼けるようになったらいいな。
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October 19, 2008
先週あたりから大根が登場してきた。今年は生育が早いのか、秋になるのが早いのか、出たばかりだと言うのに随分、太くて立派な大根だった。さっそくお漬物用に大根の甘酢漬を仕込む。長い間使っていた糠床に虫をわかせてダメにしてしまって以来、お漬物と言えば塩漬けか甘酢漬けばかり。夏の間はキュウリの糠漬けが食べたくて仕方なくて、糠床をもう一度仕込もうかと思ったくらいだが、留守にすることもあるので、きっとまたダメになっちゃうだろうな、でもあったらいいな・・・そう思って迷っているうちに秋になってしまった。冬の間は糠みそへの欲求がそれほど強まらないので?どうやら今年もまた新しい糠床は見送りになりそうだ。
今日は日曜日だと言うのにそれほどの混み具合にはならず、ちょっと早めに店を閉めてしまった。今夜は久しぶりに何の予定もない夜なので、これからの時間がとても楽しみ。パキパキと動き回っている時間も嫌いではないけれど、やっぱりたまには一人でゆっくりできる時間があるとほっとする。そんな何気ない時間がとてもありがたいと思えるのも忙しい生活をしているからだろう。明るいうちにお風呂を沸かして何度も出たり入ったりを繰り返し、湯船の中で本を読もう。
今日の煮物はひじきと出たばかりの大根を油揚げと一緒に煮てみた。昔食べていた料理というわけではないのだが、なぜか懐かしい味がした。乾物が一つでもメニューの素材の中に入っていると、野菜だけで調理するよりもずっと味に広がりが出てくる。これから春までしばらくの間、大根とはずーっと長いお付き合い。一緒に煮る素材にも工夫が必要だ。
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October 18, 2008
店をちょっとだけ早く閉めて、水戸の友達の家に行ってきた。遠いのでいつもなら一泊してから帰ってくるのだが、今回は日帰り強行軍。彼女に紹介したい友達がいるので、その友達を助手席に乗せて2時間ちょっと、あれこれしゃべりながら車を走らせた。
水戸の友達の家の近くには那珂川という川が流れていて、毎年、この時期になると鮭が溯上してくるのだという。茨城県で鮭?なんてちょっと意外な気もするのだが、私たちが到着する頃には立派な鮭もすっかり小さな切り身になって、天板の上に並べられていた。鮭のオーブン焼きとアラ汁。私の炊いた五目おこわと天然酵母のパン、チキンナゲットやサラダ、大学芋まで食卓に並び、なんとも盛大なご馳走になってしまった。
気の置けない女友達とのホームパーティを昔は私の家でしょっちゅうやっていた。今の家に引っ越して来る前は、70年ほど前の古い家で暮らしていた。2間続きの広い和室と縁側があったので、10人くらい来ても、ゆったり食事をすることができたのだ。格子窓からは紅葉や竹林以外何も見えないという借景だったので、本当に落ち着き、あの家にはしょっちゅう友達が来て食事をしたり、泊まったりしていた。大好きだったその場所から立ち退かなければならなくなって渋々引越したが、新建材でできた普通の家では、もうああいう落ち着いた時間を過ごすことはできなくなってしまった。それに店を始めてからは、店で友達と会うことが多くなったので、家で友達をもてなすということからはすっかりご無沙汰してしまった。
だけど元々、家に人をよぶのが大好きな私。友達の家で楽しく過ごせば過ごすほど、こういう時間を家でもまた持ちたいなあと思うようになった。早く安心して住める古民家が見つけられるといいのだが。
もちろん次の日も普通に仕事だったので、帰りの時間が気になりつつも話が尽きず、結局、家に帰ったのは一時半近くになっていた。走り慣れない道を走る時は、かけ慣れていない眼鏡をかけて運転するので、長時間、運転するととても目が疲れる。寝る前に目だけ温めてからぐっすり。でも楽しいおしゃべりと美味しいご飯があったので、朝は元気に起きることができた。そう言えば最近、睡眠時間がかなり削られているけれど、それなりに起きてバリバリと仕事ができる。不思議だ。
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October 16, 2008
今日は予定どおり朝5時頃からお弁当作りを開始した。メニューはこんにゃくのピーナッツ揚げ、人参フライ、レンコンだんご、飛竜頭、もちきびの信田巻き、白和え、青菜の柚子和え、ヒジキマリネ、高野豆腐の煮付け、ごま豆腐、青大豆、栗きんとん、そして黒米・緑米入り玄米ご飯、お新香、果物。まず玄米の第一弾を火にかけ、ごま豆腐を作って冷やし、高野豆腐を煮つけ、青菜を茹で、白和えを作り、栗きんとんを茶巾で絞り・・・と段取りを考えながら、仕上げをしていく。揚げ物はかなりたくさんあったので、久しぶりに一番大きな中華なべを出してきて、まとめて揚げた。
やってみて思ったことは、全体の色合せは実際に詰めてみないとわからないということ。お弁当箱のコーナーごとにどこに何を入れるか、あらかじめ紙に書いて決めておいたのだが、いざ並べて見てるとイメージしたものと違っていたりして、急きょ配置を変えたりした。全体の仕上がりの色バランスまで想像するのはなかなか難しい。そして思っていた以上にお弁当箱が大きくて、中味をおかずで埋め尽くすのがかなり大変だったということ。
本格的なお弁当屋さんだったら、一品ずつ重量も決まっていて、それをうまく型に合わせて効率よく配置していくのかもしれないが、大きなお弁当箱は初めての試みだったので不慣れで戸惑うことが多かった。ヒデコちゃんがキレイに色付いた柿の葉っぱと紅葉を持ってきてくれたので、ちょうどいいアクセントになってよかった。
今日はヨウコさんも来てくれて、8時半からは5人体制。とにかく詰めるのに一番時間がかかるから人手があって助かった。私はせっせとお料理を仕上げて、みんなに盛り付けてもらった。スタッフからは「美味しそう~。私も買って帰りたい~」と次々に言ってもらい、なんだか身内受け?するお弁当になってしまったが、他の方はどう思われるのかな。
冷凍食品や出来合いのものを一切使わず、全て手作りする大変さをスタッフは知っているから、そう思ってくれるのだろうけれど、いやはやその手間のかかることかかること・・・。とてもコレ毎日は作れないや。無事、時間どおりに2件のお弁当をお届けし、配達から戻った後は、早くから手伝ってくれたスタッフと一緒に、豪華な賄いをみんなで食べた。厨房はとっても賑やかだったで私は昼過ぎで退散?。終わってほっとした。そしてとっても勉強になって楽しかった。たまにはこういうお仕事もできると嬉しいな。
皆さんも何かの折りにはぜひご利用ください!
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October 15, 2008
ようやく明日のお弁当の準備のメドがついた。今日は一日中、下ごしらえに追われ、お昼の賄いもじっとしていられなくて味噌汁を一杯飲んだだけ。何をやってもそうだと思うが、これくらいやっておけば大丈夫という先の目安のようなものが見えないと安心できない。だからそれがはっきり見えて納得できるところまで、ずっと立ちっぱなしで仕事をしていた。夕方からのパン教室は、今回参加人数が少なかったので、その間もずっと仕事ができてよかった。作っているものはいつものお惣菜がベースだが、お値段はいつものお弁当の倍近くなので、大きなお弁当箱を買って料理の品数も多くする。懐石料理とまではいかないけれど、ちょっと豪華なお弁当をお作りさせていただく。それが30個、そしてあいりん堂さんにもいつものお弁当を30個、それぞれ配達させていただくのだが、スタッフも早くから来てくれるので、開店前に全部、仕上げることが目標。
夕方、親しくさせていただいているお客様がいらしたので、明日のお弁当のことをお話したら「そんなのいつもの風楽の定食で充分じゃないの?それが一番のご馳走よ~」「風楽のことを何にも知らない初めての人でも、ここのお弁当を食べたら、きっとすごく喜んでくれると思うわ」となんとも嬉しいお言葉をいただいた。
マクロもオーガニックも特に興味がなくて、ごく普通のお食事をされている方が、風楽のご飯を食べて下さった時、一体どういう感想をお持ちになるのだろうと時々思う。わかって下さっている方よりも、そうでない方のほうがずっと多いのだ。でもどんな方であっても作る側の姿勢は変わらないのだが・・・。
何も食べずにずっと休まず仕事をしていたので、パン教室のパンが焼き上がった時、思わずアツアツのパンにかじりついてしまった。今日のパンは大学芋を入れたサツマイモのパン。立ったまま頬張ってああ~美味しい~といっぷく。
さあ明日は朝の5時から仕事開始!
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October 14, 2008
今日の夕方からはぐるっと千葉の取材。今回はレンコンと大根をテーマにしているので、レンコンボールと大根モチを作ることにした。取材が始る直前のオーダーでバーガーパンとドックパンがなくなってしまったので、急きょパンを仕込むことになり、レンコンをすりおろしたり、大根おろしを作ったりという取材の準備をしながら、全然取材と関係ないメニュー用のパンの生地を丸めることになってしまった。
いつも何かしらやりながら、何かを作っているということが多いので、複数の仕事を掛け持ちすることにはすっかり慣れてしまった。でも明後日は、懐石風のお弁当と、普通のお弁当のご予約がたくさん入っているので、かなり忙しくなりそうだ。その買い物も今日のうちにして、明日は下準備をかなり入念にしておかなければならない。メニューを決めて買い出すもののリストも書き出し、パンをこねながら、取材用の料理の準備とそのレシピを書いていたので、途中で頭がこんがりそうになってしまった。
でもどうにかこんがらずに?取材も無事に終わり、それに合わせてちょうどパンも焼き上がり、そのまま即、買い物に出られたのでほっとした。7時ちょっと前にダンボールと大量の荷物を店に運び入れ、そのままヨガの教室へ。この頃、ヨガをやっている時、アサナの響きがとても体に入っていくのを感じている。忙しければ忙しいほど、行けなくなる日も多いのだが、こういう時こそ、目をつむって静かに体の中を見つめるヨガの時間がとても大切だなあと思う。それになんと言っても秋は新米もお芋や栗や果物など、美味しいものがとにかくいっぱいあるので、油断をしていたらあっという間に太ってしまう。ヨガによって何とか歯止めをかけられているようなので(ホントかどうかあやしいが?!)忙しくても続けていきたい。
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October 13, 2008
ふとした香りで季節を実感することがある。いつのまにかオレンジ色の小さな花が満開になっていた。その芳香に思わず立ち止まり、ああこんな所にも咲いていたんだなあと、改めて金木犀の木がそこにあったことを知る。花が咲かなければほとんど、何の木だか忘れられているような木だ。一時期、トイレの芳香剤としてあまりに有名になってしまい、金木犀にしてみたらなんとも不名誉だったに違いない。でもあの香り、モンシロチョウは苦手らしい。嫌うも何も涼しくなってきたので、モンシロチョウの姿はほとんど見かけないのだが。最近、あちこちで金木犀の香りに出会い、ああいよいよ秋も深まってきたのだなあと思う。私の借りている駐車場にも大きな金木犀の木があったことに最近になって気が付いた。
先日、お客様が萩の枝を長く切ってお店に持ってきてくださった。そのまま座敷のカゴの中に入れて飾らせていただいた。萩の花は大きくダイナミックに生けるに限る。以前、借りていた古い家の床の間に古い壷を置いて、萩の枝を長めに投げ入れ楽しんでいた。萩の花は咲くのが年々早くなってきたような気がするけれど、この時期、車を走らせていると、あちこちで薄紫や白い萩の花を見つけるので、ついつい嬉しくなって枝を手折ってしまう。
吾亦紅の深い紅色はなんと言えず秋らしい。一つの花だけをアップでみると決して可愛らしい花ではないのだが、無造作に風に揺れている吾亦紅にはとても雰囲気がある。あの紅は赤系統の色の中でも私の好きな色だ。
この他、紫式部や彼岸花や秋桜、サフラン・・・秋の花にもいろいろあるけれど、私の一番好きな秋の花は秋明菊だ。今年はまだ見かけていないが、秋の空にあの清楚な白がひっそりと咲いているのをみつけると思わず見とれてしまう。初霜が降りるまで、もうしばらく秋の花々を愛でていたい。
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October 11, 2008
今日は十三夜。十五夜の月を愛でる習慣は中国から伝わったが、十三夜(旧暦の9月13日)は日本独自の習慣で、平安時代の貴族たちが月を見ながら歌を詠んだのが始まりとされる。「芋名月」と呼ばれる中秋の名月に対して、大豆や栗などを供える十三夜は別名を「豆名月」または「栗名月」とも呼ばれている。
宗吾霊堂では平成14年から、この十三夜の夜に大本坊を解放して観月会を開催している。毎年、ゲストの方をお招きして、大本坊の中でお話や演奏などを聞かせていただけるらしいのだが、私はまだ一度も行ったことがなかった。今年は講談師の宝田錦梅さんをお招きして、「佐倉義民伝」の講談があるという。十三夜の夜に開催される観月会という命名もとっても素敵だし、義民伝の講談も聞いてみたかったので、参加させていただくことにした。
宗吾霊堂にはしょっちゅうお参りしているけれど、大本坊には中々入る機会がない。会場までの道に灯篭が灯されてとてもキレイだった。本坊の中は広い和室に赤い毛氈が敷かれ舞台が作られていた。古い木戸や欄間がとても立派で美しく落ち着いたお部屋だった。
江戸時代に佐倉惣五郎さんが直訴したという歴史的な事実は知っている。でも講談によって、そのいきさつや直訴の直前に妻や子供たちに別れを伝えるために雪の夜にこっそりと家に戻ったことなど、今まで知らなかった惣五郎さんの一面を知ることができた。実際の講談はとても長いもので、全てを語るには何日もかかってしまうそうだ。
そのほんの一部を聞かせていただいただけだが、講談師の語りに引き込まれ時間を忘れてしまった。終わった後、夜空を見上げたら、美しい朧月がぽっかりと浮かんでいた。家路を急ぐ人たちの足元を照らす惣五郎さんの月だ。
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October 10, 2008
ずっと前に骨董やさんで買った厚手の麻木綿の米袋。何かを作ろうと思って取っておいた。重たいものを入れておくだけあって、かなり厚くて丈夫な布だ。商店の名前が布に印刷されている。柿渋があったので、試しに染めてみた。と言っても正式な柿渋染めの方法を知っているわけではない。ただ柿渋をバケツに入れて少々の水で薄め、そこに布を浸すだけ。一晩、浸した後、よく洗って一度日に干して乾かす。それからまた柿渋に漬け込むを繰り返した。何度か繰り返した後、きれいに洗って最後にもう一度、よおく乾かす。
ゴツイ布袋だから、思うように柿渋が布に染み込んでいかないし、染め上がりもムラになっている。でもそれがいいのだ。商店の名前が見えるので、布を裏返し、リビングにあったクッションのカバーにした。実はクッションの方が大きくてサイズが合わないのだが、圧縮しながら袋にねじ込んだら、なんとかカタチが納まった。外側からステッチのように糸で入り口を止めて出来上がり。
今年中に絶対に引っ越すつもりでいたので、いらないものをどんどん処分し始めている。でも家の中は「どうせ引っ越すのだから・・・」という気持ちがあるせいか、どこか中途半端な状態で、一つ一つのものに対して心を寄せなくなってしまった。私はどんな小さなものでも自分の気に入ったものを身近において大事に使っていたいし、自分の好きな小さなアートたちに囲まれた空間にいたいと思う。自分の部屋で過ごす時間が短ければ短いほど、その時間を愛しいと思うからだ。だけどいつの間にか、そういう自分の回りにあるモノたちのことを丁寧に扱わなくなっていた。心ここにあらずという感じで、季節が変わろうが、ホコリにまみれようがお構いなし。
自分の部屋は自分が一番気持ちよく過ごせる場所なはずなのに、このところただ本を読んで寝るだけのどうでもいい空間になってしまった。秋も深まってきたので、遅ればせながら簾をはずし、秋色の織り布をソファにかけて、柿渋染めのクッションを並べたら、それだけで部屋が秋らしくなって落ち着いてきた。以前はチョコチョコとこういう何気ないことをいつも楽しんでやっていたのだが、すっかりそんな遊び心を忘れてしまっていた。
今でも気に入った古民家がみつかればすぐに引越したいという気持ちに変わりはないけれど、住む場所が見つかるかどうかというのも一つのご縁だ。今年中には動けないかもしれない。実際のところいつになるかは全くわからないのだ。ならばそれまでの間、少しでも、今、自分が暮らす空間が気持ちのいいものになるように、そこに心を留めて気をめぐらせていこう。
ほんの小さなクッションだけど、クッションを変えたことで、そんな気持ちを取り戻すことができた。
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October 08, 2008
マクロケーキがなくなったので、カボチャを使って何か作ろうと思い、とりあえずカボチャを切って蒸し煮だけしておいた。こうしておけばプリンやケーキにそのまま入れられるし、もしお菓子を作る時間がなかったら、サラダにしてもいい。雨が降っていたので、今日はヒマかもと思いながら、タルト台を作り始めたら、お客様が次々に来て下さり、いきなり忙しくなってしまった。
3時過ぎに3人の外国の方がいらした。一人はサラというとってもチャーミングな女性だ。客室乗務員をしているヴェジタリアンで、時々お食事にいらっしゃる。一番、最初にお会いした時、それぞれの腕にターコイズとコーラルのバングルをしていたことから、「We are sister!」ということに?なった。以来、いらっしゃるたびにお互い片言の英語と日本語でお話するのだが、何か心が通じ合うのを感じていた。東洋的なものがお好きで、とてもスピリチュアルな方だ。昨年、事故にあって肩を痛めたことから、仕事を辞め、明日ホノルルに発つのだと言う。今日は日本での最後の食事を風楽でするために、お友達とわざわざ来て下さった。和食が好きなサラは、毎回、とても「オイシイ~」と喜んで食べて下さる。
サラとこのまま会えなくなるのは寂しいので、ホノルルでの住所をお聞きした。ハワイに行ったら会いたいなあと言ったら、「私の家にぜひ泊まってね。ロミロミマッサージやスピリチュアルな場所やキレイなビーチに連れて行ってあげるわ。うちのキッチンで一緒に料理を作りましょう!」と言ってくださった。ちょうど手元に観音菩薩の絵があったので差し上げたら、とても感激して泣きそうだった。
言葉はあんまり通じなくてもわかり合えるものってあるんだあと思う。サラは「私たちは同じ魂を持っているのね」と言っていた。多分、もうすぐ60歳になるらしいが、本当に可愛らしくて素敵な女性で私も大好きなお客様だった。ホノルルはとても美しく気持ちのいい場所だから、きっと場のエネルギーに助けられて、事故で傷ついたサラの体を癒してくれることだろう。
いつかホノルルに行こう。サラに再会して彼女のキッチンで一緒に玄米ご飯を作って食べるんだ・・・きっとそんな日が来るだろう・・・そう思えるようなお別れだった。観音菩薩さまどうぞサラをお守りください。
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October 07, 2008
昨日、友達夫婦が夜遅く来てくれることになった。寝る前でもお腹にもたれないお菓子が何かできないかなと、ふと思い立ち、マクロ仕様のティラミスを作ることにした。乳製品が使ってあるコッテリ?ケーキは遅い時間に食べると胃にもたれるし重たい。
マクロ仕様のティラミスは以前から作りたいと思っていたのだが、手間も材料もかかるので、二の足を踏んでいたのだが、夕方、時間もあったし、ちょうどいい機会だったので、初挑戦してみることにした。いくつかマクロスィーツ系の本にレシピが載っているのだが、今回はココナッツミルクを豆腐の中に入れるタイプのものを作ってみることにした。
焼いたスポンジを適当な大きさの型の中に入れ、穀物コーヒーとラム酒とメイプルでシロップを作って生地に染み込ませる。それが冷めてからココナッツミルクと豆腐で作ったクリームを乗せ冷やして固める。マクロのスポンジは卵を使わないので、固いものが多いのだが、そのスポンジにシロップを塗ることによって、生地がしっとりと柔らかくなる。ただゆっくりカットしないと、柔らかすぎて型崩れしてしまう。お皿に乗せてから、オーガニックココアパウダーを振りかけた。
卵もチーズもエスプレッソも使っていないのに、それなりのティラミス風にできあがった。美味しいことは美味しいのだが、あまりに優しい味でちょっともの足りないかも・・・。もう少しレモンをきかせて酸味を強くしたり、豆腐クリームの中にナッツを加えてコクを出すなど、もう一工夫したら、もっと本物に近づけそうだ。今度はシロップの穀物コーヒーをもっと濃い目にしよう。
昨夜は2台作ったので、そのうちの1台を今日のデザートにお出しした。お皿に乗せる時も型の幅と同じヘラですくいながら出すので盛り付けるたびに緊張した。そう言えば、前に行ったイタリアンの店では大きな四角いキャセロールでティラミスを作って、スプーンですくって出していたから、お皿の上のティラミスはすっかり形が崩れていた。一つずつ小さな型で作らない限り、どうしてもそうなってしまうだろう。まだまだ改善お余地ありのティラミス、近いうちにもう一度作ってみよう。
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October 06, 2008
中島デコさんのレシピからプルーンとオートミール、クルミなどを入れたナッツバーを作った。簡単に作れるのだが、材料費がかかるわりには、ほんのちょっとしかできないので、たとえ作ったとしても売り物にするのは難しい。販売価格がかなり高くなってしまうからだ。だけどナッツバーはとても美味しいし、小腹が空いた時の腹ごしらえにもなる。一番いいのは車で出かける時など、手軽に食べられることだ。
今日クレジット機能付きのJALカードが届いた。私はクレジットカードを使ってまで買いものをしたいとは思わない。だけど10年ほど前、初めてパソコンを買ってプロバイダーに申し込む時、クレジットカードがないと、支払が不便だったので作ることにした。だけど契約職員の仕事を辞めて、店を始めたばかりの私はカードを作ることができなかった。
結婚していた頃は、私の名義で何枚かカードがあった。私の収入が少なくても夫の口座から引き落しされるカードだったら、簡単に作れたのだ。ところが夫なし担保なし貯金なしのクセに、公庫から借り入れまでして事業を始めたばかりのシングルマザーとなると、いくら真面目に働いていたとしても社会的信用がないんだなあとガックリきた。
最初に作った店はフェアトレードのアジア雑貨の店だったので、多い時は年4回、買い付けに行った。なんと言っても高いのは航空運賃。いつも格安チケットで行くからほとんどマイルはつかなかったが、少しでも安く行きたくてマイレージカードを作った。さらにクレジットカード機能付きのJALカードがあれば使った分だけマイルに加算される。カードでの買い物はほとんどしないが、プロバイダーやケータイの代金をクレジット決済にしたら、飛行機に乗る分よりも早くマイルが貯まりそう。そう思って、店を始めて数年後に申し込んだら、やっぱり「お見送り」という通知が来た。あの時も相当、ショックだった。
先月、久米島に行った時、ただのマイレージカードのポイントを入力していたら、呼び止められてクレジットカードの申し込みを勧誘された。その場で申し込むとマイルの特典があると言う。またきっとダメなんだろうなあと思いつつ、一応申し込んだら、なんと今回はすんなりと審査が通り、今日、めでたくカードが届いたというわけだ。
もうアジアに買い付けには行かなくなってしまったけれど、相変わらず旅が好きだから、これでマイルをせっせと貯めて旅費の足しにしよう。何よりも嬉しかったことは、以前、入会できなかったカードが、今回はできるようになったこと。たとえ少ない年商だとしても継続していれば、それなりに実績が生まれるということなのだろう。
店を始めて10年もたつと、作れない作れないと騒いでいたクレジットカードもいつのまにか数枚になった。でも相変わらず私は現金で買い物をし、キャッシングともリボルビングとも無縁の生活をしている。ポイント集めにも疎い方だが、マイルだったら、目先に旅という人参をぶらさげられたようなもの。でもホントはもっと早くからこのカード持っていたかったな。ようし!その分を取り返すべく、これから必死でカードのお買い物するぞ~!・・・な~んてね。
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October 05, 2008
今日はあいりん堂さんの野草観察会の日なので、おにぎりのお弁当をご注文いただいた。おにぎりの時はいつもなら経木に包むのだが、今日はおかずもあったので、プラスティックのケースにおにぎりとおかずを一緒に詰めて並べることにした。たくさん詰めたので、ちょっと窮屈になってしまったのが、ちょうど準備したおかずがピッタリ入った。
あいりん堂さんのご飯は、藤崎芳秀さんが作った「耕さない田んぽのお米」の玄米に漢方堂の佐藤成志先生が調合した雑穀米をブレンドして炊いている。雑穀をたっぷり入れるので、パサパサになりがちで、水分をかなり多めにしないと、固いご飯になってしまう。最近、ようやくこの玄米もふっくらとおいしく炊けるようになった。おにぎりの場合、バサバサだと上手に握れなくなるので、今日も水加減はとても気を使った。
7時半頃から厨房に出て、まずは第一弾の玄米を火にかけながら、コーヒーを飲む。それから豆を煮て、煮物を作り、青菜を茹で、サラダを作る。こういう時はガスコンロが4口あってももどかしいくらいだ。だから必然的にどうやったら効率よくガス口を使えるか、待っている間に何から仕込んでいけばいいのか、考えながら作ることになる。まるでパズルをしているみたいな、このやりくりに集中した時間が私は嫌いではない。
30個のお弁当を完成させて、予定通り11時頃、配達に出た。店に帰ってきてからもお客様が次々に来て下さり、久しぶりにとても忙しい一日となった。賑わっている店内を厨房からそおっと見ているのって楽しい。
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October 04, 2008
栗源の畑に行った時、畑の横に生えている柿の木から、柿が落ちていたので拾ってきた。落ちたばかりの柿だがちょっと渋柿のような感じだったので、家に帰ってから渋抜きをした。渋柿の渋抜きの方法はヘタの部分を焼酎に浸して、ビニール袋に入れて封をしてしばらく放置しておくこと。それだけで渋が抜けて美味しい柿になるなんて、本当に不思議だ。
5日くらいたってから袋を開いて食べてみたら、確かに甘くなっていた。だけど実も熟してしまったのでかなり柔らかい。これはそのまま食べるよりも何かに加工する方がいいみたい。ケーキの中に入れようかと思ったけれど、ペースト状にして寒天にしたら美味しそうだ。
そこで皮をむいて種を取り、柿の実をミキサーでペースト状にし、水と寒天を加えて火にかけた。ほんのちょっとだけ砂糖を入れて、冷やして固めた。柿は香りがないので、それがちょっと寂しいけれど、素朴で優しい味の柿寒天ができた。あの落ちていた渋柿がこんなふうになるなんて、嬉しくなってしまう。
柿や柚子やみかんの木がある家に住みたいなあ。果物が庭から収穫できたら、そしてそれを美味しいお菓子やお料理に加工することができたら、食卓がにぎやかになりそうだ。秋はあちこちで木の実や果物を見かけるので、そんな気持ちがどんどん強くなっていく。
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October 02, 2008
輸入オーガニック製品のアリサンから発売されている「ジャックの豆ミート」は風楽でもクッキーなどに入れて使っているお馴染みの食材。そのまま生地の中に入れて焼けるので、お菓子作りにはとても手軽で使いやすい。またお湯で戻してしばらくおくと、挽肉のようになるので、お菓子ばかりでなく、お惣菜の材料にも使える。今日は「ジャックの豆ミート」を使ってハンバーグを作ることにした。
ただいつも風楽では大豆を茹でてつぶしてハンバーグを作っているので、手間はかかるけれど、大豆丸々100%!と言う感じの美味しいハンバーグに慣れている。大豆フレークだけだと簡単に作れるのだが、どうしても歯ごたえのない水っぽいものになってしまう。一手間工夫しようと、何を加えたらいいか考えた。山芋やパン粉や小麦粉も必要だけど、もっちり炊いたモチキビを加えると、もっと美味しくなるんじゃないかな。
そう思って、モチキビを炊き、パセリや玉ねぎを加えて丸めオーブンで焼いた。予想通り、モチキビがパラパラになりがちな大豆フレークのいいつなぎになって、柔らかいけれど美味しい食感になった。トマトソースを作ってかけた洋風なハンバーグだ。
久しぶりのいいお天気。風がとってもさわやか。秋ならではのすがすがしさだ。洗濯物もすっきり乾き、お布団もふっかふか~。お日様の光ってなんてありがたいんだろう。
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October 01, 2008
ようやく寒さも一段落?!・・・なんていうのもこの時期にしては可笑しな話だが、今朝、半袖で新聞を読んでいたら、何度もクシャミが出てしまった。完全に衣替えしてしまうのはまだまだ早い気がするのだが、かと言って夏物ではかなり冷える。日が出ればまだ汗ばむ日もあるだろうし、本当にこの季節は着るものに困る。たとえ体では大丈夫でも、いつまでも涼しげな夏物の恰好をしているのもナンだし、毎朝、着たいものを着るというよりも何を着ようかと迷ってしまう。結局、シャツを2枚重ね着して、薄手の腹巻をして厨房に立った。
今日の日中は久しぶりにちょっと日が射したので、次々にお客様が来て下さって忙しくなった。動いているうちに、いつのまにか暑くなり重ね着していたシャツを脱いでしまった。だけどまた夕方になったらひんやりしてきた。
閉店間際にお電話があり、外国のベジタリアンの方がお食事をしたいと言われた。6名ほどでいらっしゃるのだが、お食事をするのはお一人だけ。営業時間中に間に合いそうにないので、お弁当を一つだけお作りさせていただいた。「大盛りで」とご注文を受けたので、おかずもご飯も通常のお弁当箱ではなく、二つに分けてたっぷり詰めてお待ちした。
だけど店の前に車が止まって、お客様が降りてきたのを見たら不安になってしまった。思いっきり大きなブラックの方だったのだ!お名前はお聞きしなかったけれど、ジャマイカからいらしたレゲエミュージシャンだそうだ。この量で足りるかなあ~?しかもジャマイカだと醤油の文化ではないので、煮物中心のお惣菜がお口に合うかどうか・・・。でももうお作りしてしまったのだからこれを食べていただくしかないのだが・・・。ご用意した割り箸が使えないと言われたので、急きょプラスティックの小さなスプーンをお渡ししたけれど、あれじゃあ彼にとっては小指くらいなので?食べにくかったかも・・・。
「ノンエッグ?ノンミート?ノンフィッシュ?」と繰り返し確認されていて、それは大丈夫なんだけど、梅干や切り干し大根はきっと不思議な味?だっただろうなあ・・・などなど気になることはいろいろあるけれど、これからどこかで始るライブの時にご用意したお弁当がほんの少しでもいいエンルギー源になることを願うばかりだ。
写真は黒糖のケーキ。沖縄から買ってきた固まりになっていないタイプの黒糖を入れて焼いた。
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