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November 17, 2009

農家の台所 くにたちファームへ

Dscf5068朝からあいにくの雨だったが、今日は恵比寿の介護施設に入所している父に会いに行ってきた。なんだかんだと他の用事を優先させて、父の所に行くのはいつも後回しにしてしまうのだが、毎月一回は行こうと思っている。
部屋に行くと自分のロッカーを整理し、紙袋にタオルやパジャマをしまっているところだった。「どうしたの?」と聞くと、「いよいよこの会社も今日で定年になるから、長いサラリーマン生活もこれで終わりだ。今、書類を片付けている」。私の顔は覚えていても「エイコ」という名前がすぐに出てこない。「おたく、ちょっとこの書類を家の方に運んでおいてくれないか。今、車を拾うから」。どうやら今日は父の会社で過ごす最後の一日らしい。「いよいよ定年なんだね。今、雨が降っていて紙袋の書類がぬれちゃうといけないから、運ぶのは明日にしよう。それより柿とケーキを持ってきたら、お茶にしようか」と声をかけたら素直にベットの上に腰を下ろした。
庭になっている最後の柿を枝付きのままもいで、ベットサイドのテーブルに置いておいた。持っていった果物ナイフでその柿の皮をむき、一昨日焼いたパウンドケーキを2切れカットしてティッシュの上に並べた。「随分、甘い柿だねえ。おたく、パパが柿好きだったこと知ってたの?」と言いながら、美味しそうに全部、食べた。ことさら話すことはない。ただ父の回想(現実?)を否定することなく聞いているだけだ。書類を片付けたら修道院に行くそうだ。年を取るとその人の一番、こだわっている記憶だけが全面に出てくるのかもしれない。お風呂に入れてもらって肌もツヤツヤ。定年を迎え?今日は終日機嫌がよかった。
施設に行く前にくにたちファーム恵比寿店に寄ってランチを食べた。生産者と直接取引をする野菜がメインのお店として2007年に国立にオープン以来、ずっと行ってみたいと思っていた。昨年、恵比寿にも直営店ができたので、ようやく今日、行くことができた。
ここの目玉はサラダバーだ。ランチメニュー+380円でお替り自由のサラダバーが食べられる。そのサラダバーの演出がいい。氷の上にキュウリや人参が差してあったり、ザクザクっと切った生野菜が竹ザルの上に並べてあったり。サラダバー専門のスタッフがバーの後ろに立ち。その場で野菜をスティック状に切って、お客さんに野菜のエピソードを披露。それを聞きながら若い子たちは次々に野菜を取り分けていく。お皿に並べるのではなく、グラスに野菜を立て、それを味噌、塩、ドレッシングの3種類をつけてバクバク食べていくのだ。ランチプレートの玄米とお味噌汁もお替り自由。サラダバーの野菜たちは冷たくて新鮮でとても美味しかった。ソルトリーフというプチプチした塩味のする菜っ葉も初めて食べた。
Dscf5070ランチメニューの味としては素材の味頼みという感じで、それほど凝った味付けではなかったが、野菜をたっぷり食べられるのはとても嬉しい。壁には生産者の顔やセールスポイントが選挙ポスターのように貼り巡らされている。テーブルの上にも野菜をアピールするファイルが閲覧できるように下げてあったり、「野菜」をブランド化して売ろうという心意気が感じられる活気にあふれる店内だ。
正直なところ、ベタベタ貼られたポスターがやたら目に付くし、サラダバーも狭くて取りづらいし、その出入りがいつもあるので、私くらいの年代にとっては落ち着いて食べられるという雰囲気ではないが、でも何か別の居心地の良さがそこにはあった。それは野菜がとっても元気!ということなのかもしれない。
入り口には空きを待つ人の列がすでにできており、ランチタイムは大人気のようだ。また生産者の畑に社員は皆足を運ぶことになっていたり、農家さんに農業体験をする企画もいろいろやっている面白い店だった。
どんな人が経営しているのかとても興味を持って、帰ってきてからいろいろ調べたら、2006年3月にソフト・オン・デマンド株式会社(SOD)の元代表取締役である高橋がなり社長が「農業改革」をスローガンとして10億円を元手に創業したそうだ。なんとこのSODはアダルトビデオの会社だったいうから驚きだ。高橋がなり氏は「マネーの虎」にも出演していた。
現在は千葉県内にも直営農場を作り、農産物の生産から流通までの一環して担うことにより、美味・安全・鮮度にこだわった野菜を供給し、「ものづくりがかっこいいと思える社会づくり」を目指すことを企業理念としている。
農業へのとらえ方がここ何年かで大きく変わりつつあると。今まで通りのやり方で国産の自給率を上げようとしても多分、若者たちはついてこられないだろう。その方法はいろいろあるが、まずは本当に美味しくて新鮮な野菜を食べてもらうのが一番だ。そして次代を担う若者たちに農業や野菜への関心を持ってもらうことだと思う。
国立ファームでランチをしている若者たちは皆、とても嬉しそうな表情をしていた。そして野菜が美味しいということを改めて見直しているようで、食事の間中、あちこちから驚きの声が聞こえてきた。それってすごい近道だ。私にはとうていできない手段だが、こんなに短時間でこんなにたくさんの若者の心をキュッとつかんでしまう様々な工夫が店中にあふれているのだ。スゴイと思った。
入り口にある野菜売り場の野菜たちはかなり高額だ。今、インターネットでもお買物サイトをオープンしている。それをファッションだとか、儲け主義だとか、お手軽な方法だとか言うことは簡単だ。だけど今までこんなにストレートに若者の気持ちをひきつけるような八百屋があっただろうか。時代は変わってきている。本当にそう思った。

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