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April 05, 2011

白州正子~神と仏、自然への祈り~

白州正子の孫である白州信哉氏の著作「白州正子の宿題~『日本の神』とは何か~」を数日前から読んでいた。祖母の歩いた道を辿りながら、日本の神とは何か信哉氏自身で説いた紀行文である。
その本を読んでいる時、たまたま新聞で世田谷美術館の企画展の案内を目にした。それはまさに白州正子本人が訪ね歩いて出会った寺社の名宝を、その紀行文と共に展示するという内容だった。
なんという偶然。これはすぐに行きたいと思った。昨夜、実家に泊まったので、今日は朝から懐かしい砧公園を歩き、久しぶりに世田谷美術館に行くことにした。ちょうど桜がほころび始めた砧公園。実家にいる頃はよく車でフラリと出かけた馴染みのある場所だ。
白州正子の美や文化、骨董に対する感覚は他に並ぶ者がいないくらいに幅広く造詣が深い。伯爵家に生まれ、4歳から能に親しみ、女性として初めて能舞台にたったというその生育背景による所が大きいのだと思うが、美術品を単体で観ているのではなく、歴史的な背景と自然観を交えて考察していくので、ちいさな木片一つにさえ美を見出し、魂が注ぎ込まれていく。
東京オリンピックで日本中が浮き立つ頃、全国各地を歩きながら、日本人にとっての自然と神との関係を探る旅を始めた。それらは「西国巡礼」「かくれ里」「近江山河抄」「十一面観音巡礼」などの紀行文としてまとめられ、独自のとらえ方で私たちを古の自然信仰へと誘う。彼女が語ればモノの見方が幾層にも広がっていく。
今回の展示回では各寺社に秘蔵され、普段は公開されることのない重要文化財である神像、仏像、秘宝、屏風江、観音像など、120点が展示されていて見ごたえ充分。
特に十一面観音はとても多く、その優しい視線の奥に深い哀しみが見えるような気がした。今のこの日本を憂い、今後の復興を全身で切望されているように思えてならない。見る側も美術館という空間の中にいながら、各地を旅し、ご参拝しているような感覚になった。それだけ白州正子が愛し心を寄せたモノたちには力があるということなのだろう。
予想に反して平日だというのにたくさんの来場者にあふれ、一つ一つにゆっくりと向き合うことができず残念だったが、素晴らしい企画展だった。こういう時だからこそ、古代人たちが神像の姿にどれほどの祈りを託したのかということが、より身近に伝わってくる。
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