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February 10, 2012

奇跡を呼ぶ100万回の祈り

筑波大学名誉教授で生命科学、遺伝子研究者として世界的な評価を受けている村上和雄氏が東日本大震災後の日本の復興のために書き下ろした一冊。著者の印税は全額被災者の方たちに寄付されるという。
2011年3月11日、私たちは世界の歴史上に残る大惨事を経験した。その後の津波、余震、原発事故から日本は先の見えない大きな不安に包まれた。そんな中で世界各国から「Pray for Japan」~日本のために祈ろう~と国境を越えた温かい祈りの言葉や実質的な支援が今もなお寄せられている。
今回の震災を通して私たち日本人は目に見えるものは失われても、目に見えないものは残っていくということに気付かされた。それは「日本人が本来持っていた豊かな精神性の灯りに再びスィッチが入れられた」ことで見え始めたものではないかと村上氏は述べている。
古来から日本人は自然界のあらゆる命を育むおてんとうさまを敬い、森羅万象に思いをはせながら、水木風土のあらゆるものに神が宿るという八百万神を信仰してきた。見えないものに対する畏敬の念を忘れず、おかげさまの気持ちと共に生きてきた民族だ。
ところが産業や科学の発展と共に経済効率だけが最優先され、目に見えるものばかりに重きを置くようになってしまった。今回の地震はそんな私たちへの自然界からの警鐘でもある。折しも村上氏は2010年に脳梗塞で倒れ病床につくという経験をし、その直後の大震災。どんなに科学が発展したとしても命の元になる細胞一つさえ作り出すことができないという人間の無力さと共に改めて命の尊さを感じたと言う。
「祈り」の語源である「い」は「命 生命力」、「のり」は「祝詞 詔」。だから祈りとは「生宣り」(いのり)。つまり「命の宣言」ということ。「自分が与えられた命に対して、これだけのことをしますと具体的に宣言することで、祈りが自らサムシンググレートを呼び起こし、願いを実現させるように自己の内面からいろいろな力を出させるようにするのではないか」という仮説にはとても納得できる。
世界中から寄せられた祈りという復興へのエネルギーに支えられながら、日本は少しずつ前に歩き始めている。祈りのある行動こそが奇跡を起こすことにつながっていく。真剣な祈りに感応して、命の働きを高めるためにスィッチがオンになる遺伝子があるのではないか、そしてその遺伝子は五感を研ぎ澄ませることで、強く働かせることができるのではないかと説く。
村上和雄氏は科学者でありながら、目に見えないの存在のことをきちんと理解している人だ。氏の本を読むたびに、命の仕組みを研究する人として決して奢ることのないように、それは神さまが氏にお与えになった感性なのではないかと思う。そしてその感性に私は深く共感する。
今回の惨事が余地できなかったことに対して一方で科学への不信感も生まれている。そのことに対して氏も科学者として責任の重大性を自覚し、自然と調和する技術の開発にも力を注いでいきたいと語る。
奇跡を呼ぶ100万回の祈り(ソフトバンククリエイティブ)の巻末の言葉は氏が総合司会を務めたという広島世界国際会議の宣言文。「私たちは他者の苦しみ、痛みに無関心であるのはやめましょう。世界で起こる問題の原因は私たちの中にあります。そしてその解決もまた私たち自身から始まるのです。世界を変えるのに必要な力はあなた自身にあるのです」。
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Comments

ソフトバンククリエイティブ田中孝行さんありがとう。
初めまして。書籍に関するブログを書いた途端にコメントをいただくなんて、ありがとうございました。
キーワード検索でいつもどこで取り上げられているか、よくチェックされているのですね。
村上和雄さんの著作はとても好きでよく読ませていただいていますが、今回のご本は震災後の日本の復興というものをとても意識されて書かれていますね。
そして日本人の忘れていた本来の姿というものを深く検証され、科学者としてだけではなく、一信仰者としての思いも強くにじみ出ているなあと思い、とても共感致しました。
読み手の心に響く素晴らしい書物をどうかこれからもたくさん手がけて行って下さいね。そういう書物との出会いを心待ちにしております。ありがとうございました!

Posted by: 風楽 | February 11, 2012 at 08:38 PM

このたびは、弊社刊行物をお取り上げくださいまして、誠にありがとうございます。これからもいい本をつくり、多くの方々のためになれるよう頑張りたいと思っております。
ありがとうございます。

ソフトバンク クリエイティブ
学芸書籍編集部 田中孝行

Posted by: 担当編集者 | February 11, 2012 at 01:41 PM

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