祝婚歌
今日の夕方から娘のダンナさんのご両親とお姉さん一家、私と子供たちが集まって、一緒にお食事会をした。会場も段取りも全て娘が決めて、私は言われるがままお店に行った。娘から弟たちには全員、正装してくるように伝えてあったようだ。子供たち全員が集まるのは本当に久しぶりなので、それだけでも私は嬉しかったが、ダンナさんのご両親にもきちんとご挨拶をさせていただきたかった。
初対面にも拘わらず、和やかな雰囲気でお食事できた。息子たちも私が特に口をはさまなくとも、相手のご家族にきちんと気配りができていて、いつのまにこんなに成長していったのだろう?と驚いてしまった。娘は恥ずかしがっていたけれど、ここ数日、集中して作りようやく完成した娘のアルバムと写真立てをプレゼントして、皆さんにも見ていただいた。
それともう一つ、私の大好きな吉野弘さんという詩人の「祝婚歌」という詩を筆で書き額に入れてプレゼントした。今までも何人かの結婚していく友達に贈ってきた詩だ。この詩の深い意味を理解するにはもう少し年代を経てからなのかもしれないけれど、こんな感覚を忘れずいてくれたらいいなという思いを込めて書いた。
書きながらもまた何度も泣いてしまった。でも今日は絶対に泣かないで明るくご挨拶しようと決めていた。そしてそれができてほっとした。幸せは二人で築いていくもの。この詩のようにゆったりゆたかに歩いていってほしい。
「祝婚歌」 吉野 弘
二人が睦まじくいるためには
愚かでいるほうがいい
立派すぎないほうがいい
立派すぎることは
長持ちしないことだと気付いているほうがいい
完璧をめざさないほうがいい
完璧なんて不自然なことだと
うそぶいているほうがいい
二人のうちどちらかが
ふざけているほうがいい
ずっこけているほうがいい
互いに非難することがあっても
非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで疑わしくなるほうがいい
正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気付いているほうがいい
立派でありたいとか
正しくありたいとかいう
無理な緊張には
色目を使わず
ゆったり ゆたかに
光を浴びているほうがいい
健康で 風に吹かれながら
生きていることのなつかしさに
ふと胸が熱くなる
そんな日があってもいい
そして
なぜ胸が熱くなるのか
黙っていても
二人にはわかるのであってほしい
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