奈良へ
思いたって突然奈良に行ってきた。紫陽花のキレイな季節。鎌倉のお寺に紫陽花を見に行こうかと思っていたけれど、う~んと足を伸ばして大好きな奈良に行くことにした。
もう何度も奈良には行っているので、今回は行ったことのない矢田寺という小さな紫陽花寺を選んだ。正式名称は金剛山寺。大和郡山市の矢田丘陵の中腹にある高野山真言宗のお寺だ。日本最古と言われる延命地蔵菩薩が安置されている。
境内の紫陽花庭園には60種類1万株もの紫陽花が迷路のように植えられている。30年以上前から紫陽花を植え始めたせいなのか、一つの紫陽花の株や花がとても大きいのが特徴。大きく育った見事な紫陽花が散策路にまで花を伸ばして迫ってくる。歩きながら色とりどりに咲いた紫陽花のトンネルに吸い込まれていくようで、ちょっと妖艶な気がした。紫陽花は万葉集にも詠まれているらしい。
またその近くにある慈光院にも行った。茶人片桐石州の説いた教えに従い境内全体が一つの茶席のように造られている美しい庭園のお寺だ。境内には陰陽を意識した二つの茶室が用意されており、それぞれに光と影、明と暗の特徴を持たせ、2席で一対と言われているそうだ。
全ての戸が開け放たれ、風がよく通る静かなお座敷に座った。手入れの行き届いた美しい庭を見ながら、お茶をいっぷくいただく。ゆったりとした気持ちのいい時間を過ごすことができた。
庭園の向こうには奈良盆地が広がっている。ここに招かれた古人たちは目の前に広がるこの風景を眺めながら、どんな思いでお茶をいただいたのだろう。
中秋の名月の時は庭から月を愛でながらお茶がいただけるお茶席が用意されているそうだ。なんと雅で素敵な観月会なのだろう。
いくら歩いても見尽くすということのない奈良の寺社だけど、小さなお寺でもいい所がまだまだいっぱいある。奈良を歩いていると、古の歴史が今という時代に脈々とつながっているということを感じる。そんな場所に身を置いて過ごせる時間はかけがえのない休日だ。
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