京都と奈良へ
夏の京都と奈良に神社仏閣巡りに行って来た。最初は現代美術館で村上華岳の「太子樹下禅那之図」を見に行った。なぜかとても惹かれる絵だったからだ。でも他の仏画はほとんで展示されておらず、華岳の作品を一同に見ることができず残念だった。
その後の予定は決めていなかったのだが、近くに八坂神社があったのでご参拝し、さらに少し進めば真言宗智山派の総本山智積院があるとわかったので歩いて行くことにした。金堂をお参りしてから、収蔵庫にある長谷川等伯の国宝障壁画や名勝庭園を見た。
夕食は奈良町にある町屋レストランOMOYAで。とても美しく再生された町屋でゆったりと創作フレンチをいただいた。信楽の器に美しく盛り付けられたお料理は丁寧に作られており、一つ一つがとても美味しかった。格子窓や蔵、書院造など私の大好きな雰囲気でとても落ち着く空間だった。
次の日は奈良町を散歩し、志賀直哉旧宅を見学したり春日大社の原生林を散歩したり、午後からは大神神社に行った。去年の中秋の名月はここで眺めた。
奈良盆地の東南に位置する日本最古の神社。本殿を持たず三輪山をご神体としている。この祀られ方は自然を崇拝する原始神道の形態を残しているので私はとても惹かれるのだろう。大物主(おおものぬし)大神をお祀り、お酒・醸造の神でもある。参道の入口には日本一大きいと言われる巨大な大鳥居があるが、中の鳥居はしめ縄を渡した独特の形をしている。
実は今回、ご神山である三輪山に登ってご参拝したいと思っていたのだが、入山の時間が2時までだったので、時間が間に合わずに断念した。山がご神域なので自由に入ることはできず、社務所で許可をもらい時間を決めないと登ることができないのだ。入山する時の入り口となっている狭井神社でご神水をいただいた。
最後の日にご参拝したのは京都の貴船神社。ここは行ったことがなかったので、一度は行きたいとずっと思っていた。バスと電車を乗り継いでようやくたどり着いた。鴨川の水源地にあり、神社に向かう時もずっと川の流れが聞こえてきた。ご祭神は高おかみと言って、「おかみ」という字は雨冠に口を三つ、その下に龍と書く字。水を司る神様としても有名。
神木は桂の木。何本も枝分かれした細い枝が天に向かって伸びていた。うっそうとした山の気配と、横を流れる貴船川の清流がとても気持ちよく、鳥居をくぐった瞬間、この神社が大好きになった。大勢の参拝客がいてもこの清流がたえず場を浄化しているのだろう。神社全体がとても神秘的で美しい空気に満ちていた。
好きな神社に何度でも何度でもご参拝できる喜び、そしてまだ出会ったことのない神社に初めてお参りできる喜び。今回はその両方を体験することができた。何の予定も立てずに行ったけれど、自然とご縁のある所には導かれて行くことになっているようだ。
旅先で過ごしたいい時間を大切にしながら、また仕事を一生懸命やらせていただこう。先日、ブログにも書いた「仕事は天への奉納である」という言葉がますます身に迫ってきたようだ。
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