自分を抱きしめてあげたい日に
東日本大震災、福島第一原発事故を境に私たちの生き方は大きく変わってしまった。そして今までとは違う暮らし方や考え方を誰もが模索していると言っても過言ではない。
そんな再生の時代の中で、迷える私たちにとって一筋の光となるような言葉の力を信じたいと願う著者。脱原発運動に関わり、行動する作家として声を上げ続けている、私の敬愛する女性落合恵子さんが珠玉の言葉を集めた一冊「自分を抱きしめてあげたい日に」(集英社新書)を読んだ。意外にも新書版での刊行は初めてだと言う。
・・・ことばって、何だと思う?
けっしてことばにできない思いが、
ここにあると指すのが、言葉だ。・・・
詩人長田弘の「花を持って、会いにゆく」という詩の一節から始まるエッセイ。7年間に及ぶ自宅介護の末、お母さまを見送った恵子さん。心にぽっかりとあいた空洞を埋めるべく出会った絵本や小説、詩の中から特に心に残ったものを選んで、今度はそれを私たちの再生へのメッセージとなるよう一冊の本にまとめてくれた。
言葉は確かに力を持っているけれど、同時に言葉にはならない思いというものもある。だけどやはり私たちは言葉の中で生きているから、その時の心の状態にふっと寄りそってくれるような言葉に出会えたその瞬間に、心もふっと緩んでくる。
例えば自分が無力に思えたら…日々がちょっとに詰まったら・・・自分が弱く思えたら・・・そんな心の状態に合わせて処方箋のような形で言葉を選び紹介されている。
恵子さんの感性が私はとても好きなので、恵子さんの選ぶ言葉にもまた私は共感を覚える。
そこに共通するのは「Other Voices」・・・今までとは違う価値観という思い。たとえば子供、高齢者、障がい者・・・少数派の弱者たちの声は決してMain Voicesにはならない。でもだからこそ周辺に届きにくいOther Voicesを大事にしたいと恵子さんは声を上げ続ける。
先を歩く女性の一人として恵子さんの言葉に勇気をもらいながら、私もまた自分らしく自分の道を歩いていくことを再確認していく。
最後の言葉がとても印象的。
「非情で残酷な時代と社会を、わたしたちひとりひとりは生きている。それでもわたしはいま、信頼できるひとたちと、信頼に足る言葉たちと、あらゆる状況を越えて繋がっていこうと考えている。そうすることが、この時代と社会を拓く、もしそう呼ぶとするなら、『希望』への、細い、けれども確かな明日に繋がる小径だとわたしは信じている」・・・まさに同感。
久しぶりに何もない夜があった。恵子さんの本を読みながら、一人、静かな時間を楽しんだ。多くの人と出会い話し、仕事をすればするほど、私にはそんな一人の時間がとても必要になってくる。それは自分に還る時間であり、自分を内観する時間でもある。そんな時間があるからこそ、次の日もまた元気で過ごせるのだと思う。
台風の動きが心配だけど、明日は中秋の名月。古民家で行う2度目の満月瞑想会の日だ。多くの方からお申し込みいただき、今回も定員いっぱいに。たとえ空に月が見えない夜だったとしても、心の中の月を静かに眺めながら、来て下さった方たちと共にいい時間を過ごせたらと思う。
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Comments
あすぱらさんありがとう。
台風、大変でしたね。
そんな中でも瞑想会を予定どおり行いました。終わった後に美しい月の天体ショーを見ることができ、感動してました。
どこにいても自然界から、私たちはたくさんの祝福のメッセージをいただくことができるのだと改めて思いました。
ありがたいことですね。
そんな自然からのメッセージをきちんとキャッチできる感性を持ち続けていたいと思っています。
Posted by: 風楽 | October 01, 2012 12:48 AM
いつもタイムリーなブログをありがとうございます。明日はお月見・・・私は違う集いで、思いを確認しようと思います。ありがとうございます。
Posted by: あすぱら | September 30, 2012 12:20 AM