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December 20, 2012

聡明な女は料理がうまい?!

1976年に発行されベストセラーになった桐島洋子のエッセイ「聡明な女は料理がうまい」が36年ぶりに復刊した。当時、桐島洋子は39歳、私は16歳。高校生だった。タイトルに記憶はあるものの、エッセイストやテレビなどでも活躍している「翔んでる女」?(なんと懐かしい言葉!)に特に当時の私はほとんど関心がなかった。だから彼女の書いたものを雑誌の連載などでは読んでも、本として出版されたものを読んだことはなかった。
今回、生活クラブの本選びの会でこの本の復刊を知った。取り組みも決まったそうだ。自身の人生を「食卓を中心に回っているメリーゴーランド」みたいと例え、「好きな料理を思い浮かべるとその周りには必ず家族や恋人や友達がいて、それがさまざまな愛の記憶に繋がっていく」と語っている。
本当にそうだ。あの時に食べたアレが美味しかったなあと思い出すのは、いつだって誰かと食べたあの時の味。
この本が出版された当時、私は将来、料理の仕事につくなんて思ってもいなかった。でも生活クラブ千葉での仕事も含めると、かれこれ20年近く料理(調理)の仕事に携わってきたことになる。いつのまにか料理は単なる趣味を超えて、私の人生の中でかなりのウエィトをしめる存在になってしまった。そしてやればやるほど料理ってやっぱり愛なんだなと私も思う。
歯切れのいい文章。世界各国の料理のレシピが紹介されており、メニューを読んでいると、桐島家のパーティでのテーブルセッティングが目に浮かんでくるようだ。
自分らしく生きることがごく自然にできる人。人との向き合い方も恋も仕事も潔い。それは自分がこうありたいという明確なモノサシを持っているからだろう。好きだなあ、そういう女性って。
そしてより自由で有能な女になるためにまず必要なことは、自分の食べたいものを何でも作れる自由さを手に入れること。なぜかと問われたら、食べることは生きることそのものだからと私も答えるだろう。
自分の人生を自分で開拓してきた人だから、時に向かい風にも合ったことだろう。決して平穏な人生ではなかったはずだ。だけど体当たりで丸ごと生きたから後悔なしという清々しさが伝わってくる。それがなんとも心地よいのだ。
きっと桐島洋子の作る料理も彼女の人生のように大胆で常識にとらわれず自由なのだと思う。そしてスパイスが効いていて、何より味わい深いのだろうなと思う。
おもしろおかしく、一人の女性の人生論のようにも、料理のレシピ本のようにも読める肩のこらない楽しい一冊。復刻を機に改めて今の女性たち、いえいえ男性たちにもぜひオススメしたい一冊。

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