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February 18, 2013

高野悦子さんさようなら

岩波ホールの総支配人として埋もれた映画を発掘し、上映し続けてきた高野悦子さんが9日に亡くなられた。岩波ホールは私の一番好きなミニシアターだ。30代の頃は毎回、岩波で上映される映画を観に行っていた。地下鉄神保町の駅の階段を上り、エレベーターに乗って岩波ホールの中に入って座席に座ると、さあ今回はどんな映画が始まるんだろうという期待でわくわくした。小さいけれど、岩波ホールは高野さんの思いが伝わってくる居心地のいい映画館だった。
岩波ホールがオープンして総支配人に就任した後、74年からは「エキプ・ド・シネマ」(フランス語で映画の仲間という意味)の活動をスタートさせた。商業ベースにはなりづらい良質の映画や数少ないアジア・アフリカ・中南米などの作品、女性監督の作品、大手興行会社が上映しない作品、名画など、確かな目で選ばれた作品を上映し続けてきた。
中国映画「芙蓉鎮」「入泉村の子」「宋家の三姉妹」「山の郵便配達」や、インドネシアを舞台にした「青空がぼくの家」、アイルランドの「フィオナの海」、93歳のリリアン・ギッシュと79歳のベティ・デイビスが出演した静かな作品「八月の鯨」、羽田澄子監督の「早池峰の賦」「痴呆性老人の世界」「安心して老いるために」、小栗康平監督の「眠る男」、ポーランドのアンジェイ・ワイダ監督やインドのサタジット・レイ監督作品など、岩波で上映してもらえなければ、私は決して観ることのなかった映画たちだ。
高野さんがプロデューサーを務めた「東京国際女性映画祭」に行った時はミーハーだけど握手していただいた。かつて大学で映画を学び、東宝に入社。その後女性監督をめざし、パリの映画学校に留学。映画がまだ男性中心につくられている時代にあって、自らその道を開拓しようとした。60年も昔にそんなことにチャレンジした日本女性がいたなんて、それだけで勇気がもらえる。
岩波ホールで上映された作品全てをとても観ることはできないけれど、「私のシネマライフ」(主婦と生活社)「私のシネマ宣言」(朝日新聞社)などのエッセイを通し、映画の面白さを教えていただいた。その生き方にとても共感できたし、文化としての映画を心から愛し、少しでも浸透させていくことにいかに熱心な人だったかがわかった。
最近は映画をほとんど見なくなってしまったけれど、高野さんの訃報を読んで、一つのことを生涯ずっと追求し続けていき、たくさんの方たちに感動を与えてくださったその活動に対して、本当にお疲れさまでしたと思った。
生涯、独身を通し、映画に恋をし続けてきた人生、きっとお幸せだったことだろう。たくさんの映画を紹介して下さってありがとうございます。天国では時間を気にせずたっぷり映画をご覧になって下さいね!
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