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March 02, 2013

柚べしができました

昨年の秋に仕込んだ柚べしがようやくできた。柚餅子(ゆべし)と書いて、それがどんなものだかわかる方は意外と少ない。たいていは北国のお土産もの屋さんで売っているお餅のような甘いお菓子の「くるみゆべし」を思い浮かべるようだ。
でもこの柚べしはそれとは違って、柚子で作る伝統食。作るのにはかなり手間と時間がかかる。
源平時代に生まれたとも言われているが、修験道や武士たちが腰に下げて携帯食として持ち歩いていたそうだ。柚子の実をくり抜いて、柚子釜を作り、そこに味噌、くるみ、麹、ゴマ、みりん、柚子果汁を合わせて練ったものを入れ、柚子のふたをして蒸し器で蒸す。それを和紙に包んで軒下に吊るして乾燥させること3〜4ヶ月。
包んでいた和紙をはがすと、乾燥して飴色になった柚子が出て来た。水分がしっかりと抜けて固くなっている。皮ごと薄くスライスしていただく。
口に含んでじんわりと噛んでみた。柚子の皮のほろ苦さと味噌のしょっぱさ、くるみのつぶつぶ感が溶け合って、口の中に懐かしい味が広がっていった。
正直な話、美味しい美味しいと言いながらガツガツ食べるものではない。薄くスライスしたほんの一切れを味わいながらいただくものだと思う。
お茶うけにしたり、酒の肴にしたりと食べ方はいろいろ。珍味ともお茶菓子とも保存食とも言われているけれど、そのどれもが柚べしのことを表しているようにも思えるし、そのどれもに柚べしは当てはまらないようにも思う。どんな表現であっても柚べしのことを的確には表し切れない。そんな不思議で滋味深い食べものなのだ。でも基本は一切れずつ口に入れてゆっくり味わうことだ。
作るのに手間がかかるわりに、地味だし、決して人が飛びつくようなものでもないので、今では国内でも奈良の十津川村や和歌山の龍神村、愛媛の松山、輪島など作られている地域はごくわずか。
庭にたわわに実る柚子の木があったから柚子の皮を刻んで冷凍し、果汁を絞り、柚子のママレードを作った。それでもまだ柚子があったから、柚べしを仕込むことにした。忘れられてしまいそうな日本の味。
これだけ乾燥させていれば常温でも充分保存できるので、長旅を続ける昔の人たちが持ち歩き、旅の疲れを癒したのだろう。自分で手をかけ作ったからこそ、その価値がわかり、味わい深さを知ることができた。
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