大神社展
本選びの会の用事で都内まで出かけたので、帰りに国立博物館で開催されている大神社展を見に行ってきた。今年の伊勢神宮の式年遷宮に合わせて、開催されることになった。全国の神社から集められた国宝や重要文化財が160点、それ以外にも珍しい文化財や神社の宝物がたくさん展示されていた。
私は神社仏閣をお参りすることが好きだが、秘宝はいつでも見られるわけではなく、ご開帳の時などに限られている。大好きな奈良の大神神社、石上神宮、春日大社など、何度も足を運んでいる神社からの出展や、地元、香取神宮からは海獣葡萄鏡、鹿島神宮からは黒漆平文大刀などもあった。
古来から日本人は自然の中に神が在ると信じてきた。山川草木に神宿る・・・山や木や岩を一つのシンボルとして、そこに神を見いだし、祀り、敬い、畏れる。古代の人たちは人間が万能ではなく自然の一部に過ぎないと自ずとわかっていたのだろう。
目に見えるものだけではなく、目に見えないものの中にも、何か大きな力があり、恵みがあると信じる感性を持つこと・・・古神道の中には今を生きる私たちにとって大切な示唆が秘められていると思う。だからこそ神仏習合の時代の寺社に惹かれて私は何度でも足を運んでしまうのだろう。
今回の展示で圧巻だったのは後半部分、第二会場に集められた神々の姿だろう。神社では基本的に神の姿は見えない。ご神体が大木であったり山であったりするのだが、神が人間に降りて仏の姿?のように表現された神像がある。仏像のような彫りの深さや迫力はないけれど、人間の姿を借りた神の存在は逞しいというよりは、むしろ人に近い分だけどこか愛らしく親しみを感じる。
男神坐像、女神坐像、童子坐像、武装神などいろいろ並んでいたが、まるで仏像のようなものもあった。悟りをひらき、高次のレベルに達すると人も仏の姿になっていくのかもしれない。
現代はお寺と神社を分離させているけれど、実は神も仏も区別できるものではなく、それぞれが自然の中に、人の中に存在しているということなのだろう。
見ていたら、また神社に行きたくなった。大神社展は6月2日まで。ぜひご覧下さい。
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