ミツバチからのメッセージ
世界的にミツバチの大量死や数の減少が起こっているという。日本でも2005年に岩手県で大量にミツバチが死んだ。以来、あちこちで同様の被害が広がっているという。
これはカメムシ防除のために稲に散布されたネオニコチノイド系の農薬が原因と見られるが、国はその因果関係を認めようとしない。
ミツバチが大量に死んでいく現実を知った造園家の御園孝さんが、その事実を検証し、ミツバチの危機を救おうと「ミツバチを救えプロジェクト」を立ち上げ、ドキュメンタリーのDVDを制作した。今日、宗吾霊堂前のギャラリー「teramae」で夜からその上映会があったので行ってきた。
ネオニコチノイド系の農薬は90年代より使用が始まった。即効性があり、殺虫効果が抜群なので、使用することで逆に「減農薬」扱いを受けられ、エコファーマーにも認定されるという(なんという皮肉!)。
しかし浸透性と残効性、そして何より恐ろしい神経毒性があるとても危険な農薬なのだ。ネオニコチノイド系の農薬が散布された稲は農薬が浸透しいつまでも残留することになる。しかも日本は欧米よりその残留基準が300倍もゆるいそうだ(作物によって基準は異なる)。また空中散布されると、頭痛や異常行動など人の健康にも被害が及ぶ。
昆虫がいなくなることで生き物や農村の生態系が崩れていく。今まであまりネオニコチノイドのことを詳しく知らなかったが、制作代表を務めた御園さんも来店されてお話をして下さったので、その危険性がとてもよくわかった。おかげさま農場の高柳さんも短い時間ではあったが、日本人の環境や食に体する問題意識の希薄さや、今の農業の現実についてお話をして下さった。
公害も農薬も、その時やっていることのツケはずっと後になってからやってくる。だから被害が出ないうちは安全だと思ってしまいがちだが、国の基準を鵜呑みにしてはいけない。
自分たちの体や命を本当に守りたいなら、まずはいいと言われているものを疑ってみることだ。そして自分で納得のいくように調べてみなければ・・・。本当にわからないことだらけだ。
言葉を発することのできないミツバチたちが自分たちの死を通して、私達にそのことを警告してくれたのだろう。
teramaeは以前、風楽が借りていた店舗だ。7年間、あの場所で店をやり、2階に住んでいた。様々な思い出がありすぎて、そこに行くと泣いてしまいそうで、私は移転以来、一度も足を踏み入れたことがなかった。
3年ぶりに店の中に入ったら、すっかり改装されていて小さな集まりもできるような場所になっていた。それぞれがそれぞれの場所でまた新たな拠点になっていく。一人ではわからないことも人が集まれば少しずつ理解が深まる。そういう場があることが嬉しい。
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