満開のつつじ
肌寒かった雨の夜から一転、朝起きた時にはすっかり雨もあがり、少しずつ日が射してきた。お店を開ける頃にはすっかりさわやかなお天気になった。座敷の窓を開け、網戸から五月の風を部屋の中に通す。
GW明けなので、あまりお客様は多くないんじゃないかと思っていたけれど、朝からたくさんのご予約が入り、とても忙しい一日になった。
今日はヨウコさんと二人だけだったので、厨房をほぼ一人で回し、注文が切れたほんの一瞬の間に山積みになった器を洗い、息つく間もなかった。3時頃ようやくヨウコさんと賄いを食べた。気持ちのいい風が厨房に入り、ウグイスやヒバリなどたくさんの野鳥の鳴き声が風に乗って聴こえてくる。
真っ青な空の下に広がる新緑の木々を見ていたら、何とも言えず幸せな気持ちになった。古民家の春は涙が出るほど美しく輝いている。でも心からそう思えるのは、長くて寒い冬をここで耐えて来たからだと思う。寒さの後にようやく訪れた春の温かさ。光のきらめき。ほんの一瞬の時間だけれど、めぐりくる季節をじっくり味わう喜びというものを若い頃は知らなかった。自分の人生はとうに春という季節を過ぎてしまったけれど、年を重ねたことで、モノごとをより深く味わい感じられる器を持てるようになった。ありがたいことだ。年をとるのも悪くない・・・と思う。
庭のつつじが満開になった。花大根もルッコラもマーガレットも満開だ。もうじき錦鶏菊も咲くだろう。去年、大家さんと一緒に植えたものだ。こうして毎年少しずつだが、古民家の春がにぎやかになっていく。
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