奥入瀬〜白神山地へ
紅葉にはまだ早く、避暑というにはちょっと涼しいこの時期、東北に行ってきた。東北はとにかく広いので、短い滞在時間中、どこを回ろうかと考え、今回は青森の自然を中心に楽しめたらと思った。
どこへ行っても不思議とその土地にある古い寺社に導かれるようにお参りすることになる。最初に行ったのは十和田湖畔にある十和田神社。江戸時代には熊野権現、青龍権現として恐山とともに南部藩の二大霊場とされた神社で龍神信仰のある霊験あらたかな場所。アミニズムの気配が強く残るとても神秘的な神社だった。
また今回は自然の中をのんびり歩きたかった。青森には何度か行っているが、奥入瀬は学生時代、友達と歩いて以来、30年ぶり。若い頃はとにかくたくさん回ろうと、ただスタスタ歩いてばかりだったような気がする。でも年を経てから再び同じ場所に行くと、今まで気づかなかった自然の造形美一つ一つに感動し、それをしみじみ味わいながらゆっくり歩くことができるようだ。
自然との向き合い方、感じ方というものはその時々の自分の年齢でずいぶんと変わってくるものだなと思った。しっかり装備した本格的な登山はあまりできそうにないけれど、ゆったり歩くことならいくつになってもできそうだ。
奥入瀬はなだらかな遊歩道が渓流に沿って続いている。場所によって異なる渓流の音やブナや楓、カツラ、松などたくさんの木々の間からのキラキラと射し込む木漏れ日、変化のある岩や石、いくつもの滝など、たくさんの表情を楽しみながらマイナスイオンをたっぷり浴びてきた。
また青森と秋田県にまたがる白神山地もいつか歩いてみたいと思っていたが、今回、足を伸ばすことができた。ブナの原生林など手つかずの自然が残る白神山地が世界遺産に登録されて今年で20年。貴重な生態系が今も残る神秘の場所だ。
あまりにも広大なのでとても短時間では回りきれず、しかも数日前の雨の影響でトレッキングポイントである暗門の滝への道は通行止め。ほんの入り口の一部を歩いただけに過ぎなかったけれど、ブナの緑がとても穏やかで目に優しかった。
樹齢400年のブナの木マザーツリーにも会うことができた。大きな枝を広げ、静かに旅人が訪れるのを待っていてくれる・・・そんな温かいお母さんのような木だった。今回は時間がなくて全く回れなかった湖の点在する日本海側も今度は歩いてみたい。
青森は海産物がとても美味しい。その中でもホタテとイカをたっぷり食べてきた。地元の人たちが行く市場も覗いたけれど、イカやホッケ、ウニなどがあまりにも安くてビックリ!青森に1週間いたとしたら確実に太りそうだ。
温泉もいろいろハシゴした。若い頃はあまり魅力を感じなかったであろうひなびた山奥の古くからある温泉に浸かった。酸ヶ湯温泉、谷地温泉、そして奥入瀬渓流温泉・・・柔らかさの中にも力がある東北のお湯。クセになりそうだ。
この時期は寒いんじゃないかと心配し、長袖や上着も持って行ったのだが、お天気にも恵まれ日中は暑いくらいだった。高原の空気は清々しくてさらりとしていて気持ちよかった。紅葉の季節に歩いたら、もうため息が出るほど美しいだろうなあ。もうすぐ紅葉の季節。色づいた山並みを今年はどれだけ楽しめるだろう。なんだかとっても歩きたいモード?になってきた。
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