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November 25, 2013

ダライ・ラマ講演会へ

来日中のダライ・ラマ14世。全国を精力的に回っていらしたようだが、今日は今回来日の最後の講演。ヒロコさんに誘ってもらったので、一緒に会場となる両国国技館に行ってきた。
ダライ・ラマの本は今までも何冊か読んでいたが、チベット仏教だけでなく科学や自然、経済、芸術など本当に多方面にわたる知識をお持ちで、世界全体の平和を心から願っている方だという印象を持っていた。
今回も日本平にて祈りの祭典が開催され、キリストやイスラム教、神道や仏教などいくつもの宗派が集まり、共に心を一つにして世界平和に向けての祈ったという。
私自身は著作を通してダライ・ラマのメッセージを受け取り、尊敬しているけれど、今までは直接、講演を聞きに行ったことはなかった。
国技館に入る前はセキュリティチェックが行われ、ペットボトルなどの持ち込みは禁止、写真撮影も報道関係者のみ、終演後も法王が会場から出るまで参加者は退出しないよう指示があった。
今日のテーマは「日常の中で活かす仏教の智慧」。人は生きている限り、困難や苦しみに直面することがあるが、それをどう乗り越えて行ったらいいのか、ダライ・ラマからアドバイスがあった。
その基本にあるのは住んでいる国が違っても、信じる神が違っても、生活の仕方が違っても、この星に住む人はみな「人間家族」として同じ存在なのだという視点だ。
家族のうち誰かが苦しんでいたり生きづらさを抱えていたりしたら、その家族は幸せとは言えない。宮沢賢治の言葉ではないけれど、世界全体が幸福でない限り、個人の幸福はあり得ないという考え方だ。そして他人(他の家族)を思いやることが自分の幸せにつながっていく。
また苦しみについても仏教では因果応報と言われ、その苦しみの原因は自らが作り出したと考える。心の中に内なる平和があれば自ずと苦しみも消えていく。その内なる平和とは優しさと思いやり、そして祈りから生まれると話されていた。
またダライ・ラマはそもそも人は相互依存の関係なのだと言われていた。相互依存という人間関係自体、あまりいい関係ではないと思いがちだが、むしろ未熟な弱い人間同士だからこそ、助け合い支え合わなければならないという発想だ。互いの歩み寄りや相手の問題を自分の問題として共に解決していこうという思いやりの姿勢こそが大切なのだと話されていた。
3階席の一番上だったので、スクリーンを通して法王のお姿を拝見していたのだが、講演中も絶えず全体に目を行き届かせ、聴衆の反応を伺っていらっしゃるご様子だった。同席されていた高野山真言宗の僧侶の方はダライ・ラマのことを目配り・気配り・心配りのできる素晴らしい方だと言われていた。
会場からの質問についても少しでも多くの人とディスカッションしたいと法王ご自身が望まれたそうだ。時間がとても押していたけれど、一つ一つの質問に丁寧に的確にアドバイスされていた。
国際社会の中で様々な立場があり、政治的な配慮もあるので、普通の講演よりは警備面なども強化されていたけれど、純粋に一人の平和を願う僧侶として私はダライ・ラマは素晴らしい方だなと思った。英語で講演されたのだが、ワンセンテンスごとの通訳ではなく、かなり長い時間お話されてからの通訳だったので、正直なところ、話の途中でウトウトしてしまった時もあったが、聞きに行ってよかった。
人は誰も幸せになりたいと願う。当然、自分の回りにいる人たちも同様にそれを願っている。自分を同じように周りにいる人たちの幸せを願うことが、究極的には自分の幸せに繋がって行くのだというメッセージ。
これからの生き方の中で実践していきたいと思う。
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