「こつなぎ」~山を巡る百年物語~ 上映会のお知らせ
おかげさま農場の高柳さんが呼びかけ人になって「成田有機の里」という実行委員会を作り、ドキュメンタリー映画の上映会を企画している。「こつなぎ」。岩手県北部にある小繋(こつなぎ)という地域で起きた裁判の記録をまとめたドキュメンタリー映画だ。
こつなぎの集落の人たちは昔からこつなぎ山から薪を拾い、山菜を取り、草を刈り、山と共に暮らしてきた。それが大正4年の大火をきっかけに、地主との間に入会権を巡る訴訟が起こったのだ。60年にわたる長い裁判で最高裁まで審理されたその記録と農民の暮らしを淡々とカメラは追い続ける。キネマ旬報ベストテン文化記録映画部門でも第2位に選出された評価の高い作品だ。
実行委員会のメンバーで先日、試写会を行い私も見てきた。2時間に及ぶ長い作品を見ながら、日本では個人の当たり前の権利を確保するために一体どれだけの時間と労力を費やさなければならないのかと、思わずため息が出てしまった。
「入会」(いりあい)という言葉の正式な定義もこの映画を見るまで私は知らなかった。「一定の地域の住民たちが慣習的な権利により、特定の土地を所有あるいは山林、原野、漁場の薪材、魚貝などを採取することも目的に使用すること」という定義があるらしい。
農地が少ない山間部に住む人たちにとって山は資源を確保する貴重な共有地だ。自然の恵みを共に享受し合う暮らしが長い歴史の中で静かに続いてきたのだ。「おたがいさま」「おかげさま」という気持ちが根本にあれば、自然の実りは誰のものでもなく豊かに分けあうことができるんだなと思った。
一体山は誰のものなのだろう?闘いの歴史は不毛で理不尽なことが多いけれど、それでも四季折々、そこで暮らす人たちの生活はいつも自然と共にあって変わることがない。
3月6日日曜日。午後2時から国際文化会館小ホール、午後6時15分から下総公民館多目的ホールにて上映会を行います。地味な作品ですが、何か大切なことを教えてくれます。参加費は1000円。風楽でもチケット取り扱っています。ぜひ見てくださいね!
最後に原告の農民の一人山本清三郎さんの言葉が印象的。
「土が自然にできているし
山でも川でも地球の一部分でしかないでしょ
これが誰のものというのは変なんですよ
我々は地球の子供なんだから
人間をどうする
生かすも殺すも、それを自由にできるのは
この自然しかないでしょ
地球があって
始めて我々が生きているわけだから」
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