February 20, 2011

「こつなぎ」~山を巡る百年物語~ 上映会のお知らせ

おかげさま農場の高柳さんが呼びかけ人になって「成田有機の里」という実行委員会を作り、ドキュメンタリー映画の上映会を企画している。「こつなぎ」。岩手県北部にある小繋(こつなぎ)という地域で起きた裁判の記録をまとめたドキュメンタリー映画だ。
こつなぎの集落の人たちは昔からこつなぎ山から薪を拾い、山菜を取り、草を刈り、山と共に暮らしてきた。それが大正4年の大火をきっかけに、地主との間に入会権を巡る訴訟が起こったのだ。60年にわたる長い裁判で最高裁まで審理されたその記録と農民の暮らしを淡々とカメラは追い続ける。キネマ旬報ベストテン文化記録映画部門でも第2位に選出された評価の高い作品だ。
実行委員会のメンバーで先日、試写会を行い私も見てきた。2時間に及ぶ長い作品を見ながら、日本では個人の当たり前の権利を確保するために一体どれだけの時間と労力を費やさなければならないのかと、思わずため息が出てしまった。
入会」(いりあい)という言葉の正式な定義もこの映画を見るまで私は知らなかった。「一定の地域の住民たちが慣習的な権利により、特定の土地を所有あるいは山林、原野、漁場の薪材、魚貝などを採取することも目的に使用すること」という定義があるらしい。
農地が少ない山間部に住む人たちにとって山は資源を確保する貴重な共有地だ。自然の恵みを共に享受し合う暮らしが長い歴史の中で静かに続いてきたのだ。「おたがいさま」「おかげさま」という気持ちが根本にあれば、自然の実りは誰のものでもなく豊かに分けあうことができるんだなと思った。
一体山は誰のものなのだろう?闘いの歴史は不毛で理不尽なことが多いけれど、それでも四季折々、そこで暮らす人たちの生活はいつも自然と共にあって変わることがない。
3月6日日曜日。午後2時から国際文化会館小ホール、午後6時15分から下総公民館多目的ホールにて上映会を行います。地味な作品ですが、何か大切なことを教えてくれます。参加費は1000円。風楽でもチケット取り扱っています。ぜひ見てくださいね!
最後に原告の農民の一人山本清三郎さんの言葉が印象的。
「土が自然にできているし
山でも川でも地球の一部分でしかないでしょ
これが誰のものというのは変なんですよ
我々は地球の子供なんだから
人間をどうする
生かすも殺すも、それを自由にできるのは
この自然しかないでしょ
地球があって
始めて我々が生きているわけだから」
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February 15, 2011

ご縁玉プロジェクト~響き合う魂(こころ)~

いのちの授業」を実践してきた元養護教諭「山ちゃん」こと山田泉さんが乳がんで亡くなったという記事を2年前の新聞で読んだ。ガンと闘病しながら仕事を続け、自らの体験を語ってきたが、ガンが再発したため退職。その後も毎週一回、自宅を「町の保健室」として開放し、元教え子たちと命の話をし続けていたという。
ガンの再発後、元気なうちに憧れのパリへと家族旅行をした山ちゃん。そこで知人に紹介されチェリストのエリック・マリア・クチュリエさんと出会う。乳がんが再発した山ちゃんをチェロの力で元気付けたいと、今度はエリックさんが来日。山ちゃんの家に泊まりながら、一緒にホスピスや養護施設にチェロを持って訪問。
そんな二人の交流が「ご縁玉」というドキュメンタリー映画になった。山ちゃんの著書を読んで感動した一人の女性がその上映会を千葉で企画したという。場所は大網にある不動産会社「大里綜合管理」のホール。会場となるこのホールもまた地域のコミュニテイとしていろいろな活動をしているので、近々行こうと思っているところだった。
今日の夕方から行われた上映会に行ってきたのだが、会場は150人ほどの人でびっしり。上映の後、挿入曲でもあるバッハの無伴奏チェロ組曲1番と2番をエリックさんが演奏してくれた。上映会のためにパリから江口方康監督とエリックさんが駆けつけてくれたのだ。
今回のこの上映会は「ご縁玉プロジェクト」の一貫として行われ、収益の一部を使って、映画のサントラ盤と山田さんの著書『「いのちの授業」をもう一度』と『いのちの恩返し』の2冊をセットにして、全国の公共図書館に寄贈する計画があるそうだ。
山田さんは亡くなる12時間前にもホスピスのベットで「生きることは人のために尽くすこと。これで終わります!」と意識のないまま突然しゃべり、そこに寄りそった家族や医師たちが拍手をすると、微笑んで亡くなったという。まさに最期までいのちの授業を実践していた人だ。
自らの死を覚悟しながらも、決して取り乱すことなく、最後まで人のために何ができるかと命をかけて生きて来た山ちゃん。ご自身はかなりしんどい状況だったはずなのに、映画の中の山ちゃんの姿はとても明るくさりげない。気どらずありのままに生きていて、困っている人をほおっておくことのできない世話好きのおばちゃんという感じだ。その生きる姿にたくさんの人が勇気を与えられた。だから山ちゃんが亡くなった後も、山ちゃんの結んだご縁がさらにあちこちで結ばれていく。
誰も皆、出会うべくして出会う人がいる。山ちゃんとエリックさんとの出会いも偶然だった。だけど、それは出会った瞬間から必然に変わっていく・・・。不思議なえにし。
ご縁の中で生かされている私たちは、ご縁の力をもっと信じてもいいなじゃないかな。必要なことの答えは、皆ご縁の中に用意されているような気がする。
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December 01, 2010

「レオニー」

今日のご予約は夜からだったので、昼間の時間を生かして「レオニー」を観てきた。100年前に異国の日本に母子で渡り、天才彫刻家イサム・ノグチを育てた母親レオニーギルモアの波乱に満ちた生涯を描いた映画だ。
監督の松井久子さんは64歳。50歳で映画監督になり「ユキエ」や「折り梅」を撮影。同作品は全国に自主上映で広がり観客動員数は200万人を越えたという。「レオニー」の構想は7年。そのうち6年間は映画作りの資金を集めに奔走していたそうだ。そんな中、松井さんに映画をぜひ撮ってほしいというファンたちが「マイレオニー」という支える会を結成し製作費13億円を集め、何度も何度も脚本を書き直し、ようやく作品が完成した。
名門女子大出身で自我の強い自立した女性レオニーはニューヨークで活躍していた詩人野口米次郎の編集者となり恋に落ちる。ところがレオニーが妊娠した頃、日露戦争が始まり米次郎は帰国。その後、レオニーはイサムを産むが、アメリカで排日機運が高まったため、レオニーと共に日本に行くことを決意。日本で米次郎に再会するが彼には妻がいた。英語の教師をしながら貧しい中でイサムを育てるレオニー。あの時代に言葉も通じない異国でシングルマザーとして混血の子どもを育てていくことがどれほど大変だったことか。
でもレオニーはイサムに大きな愛を注ぎながら芸術家としての彼の資質を早くから見抜く。「あなたの芸術は武器、あなたの芸術は声、芸術家には限界がなく国境も存在しない」と語るレオニー。戦争という時代に翻弄されながらも強くて潔いレオニーの生き方にとても共感した。そして随所に見られる美しい四季折々の風景。レオニー役のエミリーモーティマーが長身の体にロングドレスを身にまとい颯爽と歩いている姿が印象的。
松井久子監督は語る。「生きることそのものが仕事。人生そのものがハードな遊び。ちょっと勇気を持てば結構すごいことができる。そのためにはあきらめないこと。そして途中で投げ出さないこと」。さらに「人生の本当の喜びは困難を乗り越えた先にこそある」。
イサムノグチは有名だが、彼を育てた母親のことはあまり知られていない。でもそんな一人の女性に光をあて、長い年月をかけて作品を作りあげ、伝えたかったメッセージはまさにそこにある。とても勇気を与えてもらった素晴らしい作品だと思う。千葉での上映はシネプレックス幕張TOHOシネマズ流山おおたかの森のみ。
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September 28, 2010

雨あがる

お休みの朝はゆっくり起きて布団の中で本を読みながら9時頃までゴロゴロしていた。その後、1時間以上かけてゆっくりと朝ヨガをした。ずっと忙しかったので首や背中がけっこう張っている。この1週間、全くヨガをしていなかったので体がバリバリになっている。腹式呼吸をしながらアーサナをやっているうちに血行がよくなり体がほぐれて行くのがわかった。
エスプレッソメーカーをガス台にかけて2杯分のエスプレッソを入れ、カップにたっぷりミルクと一緒に注ぎ、コーヒーを飲みながらゆっくりと新聞を読む。久しぶりの時間だ。南側に畝がたててあるので種まきをしたかったのだが、日中はずっと雨がやまず今日はできなかった。
どこかにランチにでも行こうと思っていたのだが、あいにくの雨なので家の中で雨を見ながらご飯を食べるのもいいなと思ってお昼を用意した。日曜日の「太陽の市」に持っていったひじきご飯の具が冷蔵庫の中に少し残っている。イベント用にずっとキッシュを焼いていたので、このところ乳製品ばかりに偏っている。今日は玄米と野菜だけを食べようと思い、ひじきと大豆に人参を加えて煮なおし、玄米に混ぜてお昼ご飯を作った。野菜をいっぱい入れてお味噌汁を作り、お漬物と、太陽の市で買った水前寺菜を湯がいてじゃこをかけて並べた。
沖縄の長寿食には欠かせない薬草水前寺菜(ハンダマ)サクナが「太陽の市」に出店していた農事組合法人「ナチュラルシード」で売っていたので驚いた。沖縄に行った時はいつも食べているのだが、千葉で売っているのを私は見たことがない。独特の香りと苦みがあるが、いかにも長寿草という感じの味がして、体に効く青菜?だ。よおく噛んでゆっくりと食べた。
それにしてもよく降るなあ。縁側から雨が降るのを静かに見ている時間があるなんて、今日はすごく幸せな午後だ。こんな天気の時にピッタリだなあと借りてきたDVD「雨あがる」を見た。10年前の映画だが、「見終わって晴れ晴れした気持ちになる作品」というテーマどおり、本当に見終わった後がとてもすがすがしい。原作は山本周五郎。武芸の達人だが、人を押しのけてまで出世できない不器用な武士役には寺尾聰がハマり役だ。肩に力の入らない寺尾聰の演技とそれをささえる妻役の宮崎美子がとてもよかった。久しぶりに山本周五郎も読みたくなった。タイトルどおり、明日は雨もあがりそう。
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June 01, 2010

一日草刈り!

パソコンのキーボードと打つ手が震えている。左右の親指が凝っている?みたいだ。今日こそは!と気合いを入れて9時半から始めた草刈り。やり出す前はウダウダしていたのだが、やり始めるととにかく全部、すっきりと刈ってしまおうと必死になって草を追う。私は何でもコン詰めてやるタイプなので、草刈り機を背負って休みなくずっと庭にいた。オイルが切れてエンジンが止まり、オイルを補給するまでずっとノンストップだ。
11時頃、トモちゃんが来てくれた。花壇とハーブ畑の方の草取りと花ガラ摘みをしてくれた。それだけでもとても助かった。1時頃、途中で一回ランチタイム。だけど食べたらすぐに仕事開始。タンポポの黄色い花が群生しているのを座敷から見るのが好きだったけれど、タンポポだけを分けて草刈りするのはとても無理。結局、全ての雑草たちを一掃しようと、草刈り機のグリップを握る手にも力が入る。
なるべく地面すれすれから歯を入れた方が根っこまで切れるので、土や小石がいっぱい跳ね返ってきた。スギナは二度刈りをした。一度刈った後、今度は土の中に歯を入れて回転させていく。そうすると根っこが少しは切れるからだ。ハーブ畑は特に念入りにスギナを刈って、その後、石灰と鶏糞をまいた。かなり手ごわい土なので、あの丈夫なミントさえ思うように育たない。この季節、ハーブは雑草のようにどんどん増えていくハズなのに、ここはスギナや篠竹、そして粘土質の酸性の土が成長を妨げる。
思い切ってかなり深く機械をかけたので、ハーブ畑の方は少しの間、安泰かも(甘いか?)。でもあんまり草を刈りすぎたせいか?ハーブ畑の隣りがぽっかりと空いてちょっと寂しくなってしまった。どなたかお家で増えすぎたハーブや花があったら、分けてくださ~い。ちょっとはコンディションがよくなったかもしれないので、今なら増えてくれるかも・・・。
それにしてもすっかり日に焼け何と腕が痛いこと。確か去年の夏も、修復と修復の間の一日で、草刈りを一気に終わらせてしまおうとがんばったら、次の日、すごい筋肉痛になってしまった。今日も草を刈っている時間は正味にすると5時間くらいなのに、かなりハードだった。撮影した距離がちょっと違うのだが、同じ場所の使用前・使用後の写真
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